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未知倶楽部コラム

特色ある商品開発(7月実施のアンケート結果から) 2009年9月4日

2009年6月29日付未知倶楽部コラム「いま再び考えたい道の駅の役割(6月実施アンケート結果)では、「地域との連携」が道の駅にとって重要である、というご意見を多く頂戴しました。今回は、特色ある商品の開発についてクローズアップします。「地域との連携」を具体化する方法として、特色ある商品・オリジナル商品の開発が第一に挙げることができるためです。

以下、道の駅へのアンケート調査、および先進的な取り組みを行っている道の駅への電話取材から得られた情報をもとに、特色ある商品・オリジナル商品に取り組んでいる道の駅がどのような商品をどのような方法で開発してきたのか、について、未知倶楽部の考察とともにご紹介します。

なお、アンケート調査には35箇所の道の駅から回答を得ています。回答数が少なかったことについて、未知倶楽部は残念に受け止めています。特色ある商品・オリジナル商品の取り組みがまだ必ずしも多くの道の駅においてなされていないことの反映であると考えています。

それでは実際の取り組み事例を見てみましょう。まず、これまでの商品開発の取り組み手法を尋ねました。その結果、「地元の農家や商工業者等との共同開発」に多くの回答が集まりました。

また、今後取り組んでみたい商品開発手法を尋ねたところ、「地元の農家や商工業者等と共同で開発したい」という回答が多かったのみならず、「他の道の駅との連携によって開発したい」と回答した道の駅も多く集まりました。実際に道の駅の共同による商品開発の事例も一部で始まっており、今後もこうした流れが拡大していくものと未知倶楽部は考えています。

次に、商品開発において留意すべき点をアンケートで尋ねました。ここに寄せられた自由回答を分析したところ、いくつかのキーワードで分類することができました。

  • 地域資源の発掘と魅力の再発見が重要とする意見
  • 消費者の目線から発想するマーケット・インの視点が重要とする意見
  • 流通コストを吸収できる高めの価格設定が重要とする意見
  • 安全・安心な商品づくりのこだわりが重要とする意見
  • 生産者との信頼関係づくりが重要とする意見
  • 道の駅の広域連携を促進することが重要とする意見

これらの分析結果から、特色ある商品・オリジナル商品の開発には、「地域資源の発掘・再評価」「地域の多様な主体との連携」「利益を確保する仕組みづくり」、などの要素が成功の秘訣であることがわかります。


最後に、先進的な商品開発に取り組んできた道の駅の事例を取材しておりますので、そのうちの一部を上記の3要素に当てはめてご紹介します。

  道の駅 オリジナル商品の例 特徴
地域資源の
発掘・再発見
日義木曽駒高原
(長野県)
・でっかいとうぶきの佃煮
・すんきカレー
地域の伝統食(すんき)に脚光を当てた商品を開発し、イベント等の開催等を通じて注目度を高めている
酒蔵奥出雲交流館
(島根県)
・銘酒「仁多米」
・奥出雲仁多米発芽玄米せんべい
地域の産品である米にこだわった商品を道の駅からの提案によって開発し、来訪者の関心を引く売場作りを行っている
地域の多様な
主体との連携
自然体験しむかっぷ
(北海道)
・山菜おこわセット
・木のこおこわセット
村内の特産品(山菜)と隣町の特産品(もち米)とを結びつけることによって、新たな特産品を開発している
ゆ〜さ浅虫
(青森県)
・津軽三昧「華麗」海彦
(レトルトカレー)
県内の道の駅の連携の中で、当地の名物を用いたオリジナル商品を作りたいという機運を醸成し、実現に漕ぎ着けた
利益を確保する
仕組みづくり
萩しーまーと
(山口県)
・萩の真ふぐたたき
・萩の甘鯛昆布〆
・ちびっこイカ飯
生鮮のままでは付加価値が低く、通年の安定出荷が難しい魚介類を、加工品にすることによってブランド化している
くるめ
(福岡県)
・ミネラル豊かな塩トマト
・華納豆
地域にある特徴的な農産品や農産加工品を販売する際、マスコミを通じた話題づくりでヒット商品を生み出している

いずれの道の駅も、それぞれの地域資源に即して、いろいろな工夫をこらすことによって、過大な費用や手間をかけることなく特色ある商品・オリジナル商品の開発を行っています。これまで尻込みしていた道の駅の方々も、こうした事例を参考になさりながら、取り組みを検討なさってはいかがでしょうか。

執筆者

未知倶楽部 編集部

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