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未知倶楽部コラム

道の駅ブランディングについて(その3)

2006年4月12日

それでは道の駅が共通項として保証すべき別世界とは何か?

別世界とは非日常的な世界のことです。(当たり前ですが)

また、非日常的な世界とは、毎日の生活臭、生活シーンから離れたところにある、輝きのある世界のことです。

海外旅行をしてハリウッド映画で観たシーンのなかに身を置く。国内の名所旧跡を訪ね歩き、有名旅館に泊まり、山海の幸に舌鼓を打つ。あるいはテーマパークでファンタシーの世界に浸る。

いつもと違う新しい世界の刺激を受け、現実生活のなかでは満たされない“何か”を求めること。このようなものが非日常的世界の代表例です。

でも果たしてそれだけが非日常的世界でしょうか。

私はそう思いません。

非日常的世界のなかにはこのような刺激的な新しい世界だけではなく、既知の世界(潜在的な世界)をやさしい刺激のなかで呼び起こし、そしてそこで安らぎ感を得るという世界も含まれるのではないでしょうか。

何か懐かしいもの、過去に出会ったのに忘れていたもの。そのような“小さな世界”です。誰もが心の奥底に持っている世界のことです。

利用者からの調査により出てきた幾つかのキーワード、地域らしさ、変化に富んだ旬なコト、モノ、はっと驚く世界。これらを結び付け深化させると、このような“小さな世界”が出現するのではないかと思います。

別の表現で言うと、利用者は道の駅及び周辺地域が醸し出す「ふるさと感」「日本の現風景」に潜在的に憧れているということになります。

このことはすなわち、道の駅と国道沿いにある他の施設(例えばコンビニ、ファミレス、ドライブインなど)とを峻烈に差別できる要素は、道の駅でしか醸し出せない「ふるさと感」「日本の原風景」的な世界であることも意味します。

道の駅ブランディングとは(その1)」で、道の駅の多様性について記しました。

個々の道の駅はその地域の属性である地理的、生活基盤、歴史、風土等に大きな影響を受けており、一つとして同じ道の駅は存在しません。しかしその多様性を自分達の狭い世界で演じていては、総体としての道の駅の魅力は向上しません。

利用者が求めている「ふるさと感」「日本の原風景」という切り口でそれぞれの道の駅が提供する資源を編集し、訪問した全ての人にその世界を提供することこそが、道の駅が利用者に対して保証すべきものだと思います。

その観点より地域資源を見つめ直し、地域とのネットワークのあるべき姿を考え直し、そして都会の利用者と地域とを繋ぐ手法を編み出すこと、これが未知倶楽部の道の駅ブランディングです。

ではどのような手法を用いるのか? これについては別の機会にお話し致しましょう。

(了)

執筆者

未知倶楽部室 室長 賦勺尚樹

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