HOME > 未知倶楽部コラム > 駅長様へのメッセージその2(店頭での販売手法について)

未知倶楽部コラム

駅長様へのメッセージその2(店頭での販売手法について)

2008年08月12日

先回のコラムではガソリン代の高騰により思うように集客、売上が延びていない道の駅の現状及び、それへの対策を述べました。

→「駅長様へのメッセージ(冬場に備えて」
http://www.michi-club.jp/column/column-template.php?columnid=223
繰り返しになりますが、解決策の要約を下記します。

@販売を増やす為には売り場=PLACEを確保して販売チャンスを増やす必要がある。他の道の駅での合同販売会、都市部でのイベントへの参加、及びネット販売により新たな売り場を確保することが出来る。

A冬場のお客様は域外の人より、地元の人が中心となるので地元の人に喜ばれる品揃えが必要である。他の地区の道の駅の産品が地元に人に喜ばれるという事例がある。他の道の駅から仕入れるためには日頃からネットワーク作りを心掛けることが必要である。

B売上が上がらない時にはコスト(固定費)削減を実施すること。光熱費、水道料も毎日少しでも無駄を排除して削減出来れば‘ちり積’となり大きく収益に寄与する。

先のコラムを掲載して一週間近く経ちますが、その後も各地の道の駅から新たな情報が入ってきております。

関東の大変力のある道の駅からの情報ですが、「東京ナンバーの車がめっきり減った」、「客は多いが財布の紐が固い」とのことです。その原因はやはりガソリン代の高騰により遠出を控える人が増えているせいだと分析しております。

さて、本日は第二弾として「店頭での販売方法」について述べさせていただきます。

@先ずは、売り場作りの基本です。

  各道の駅は‘何を売りたいのか、何を買って頂きたいのか’を明確にしましょう。
  わざわざ道の駅を訪れたのに高速道路のSA、ドライブイン、空港でも売っている商品を見てうんざりされる
  お客様が多いと思います。

  お客様が本当に求めているのは何なのか?それはその地域でしか手に入らない商品だと思います。
  それは何なのかじっくりとお考え下さい。良く考えてみるとそんなに多く‘売り’となる商品はありませんよね。
  それで良いのです。だからこそお客様が喜ぶのです。その商品を目指して訪れて下さるのです。

  是非とも自信を持ってその商品を、入り口近くに島(コーナー)を作って陳列して下さい。また、その商品にま
  つわる生産者の想い、地域の歴史、それと調理方法、地域料理等をPOPの中で詳しく述べて下さい。素朴
  さこそ好まれますので手書きの方が効果的です。

  実はこの行為により他の効果が期待できます。地域の産品を美しく陳列して紹介することによりその姿を見
  て地域の生産者、加工業者は安心してより優れた商品作りを心掛け、そして選りすぐりの良い商品を持ち込
  んで下さることでしょう。これこそが地域の生産者の心を掴んだ瞬間だと思います。

Aそれでは域外のお客様の足音が途絶える冬場に於ける店頭での対策です。

  地元の人は地域の産品は幾らでも手に入るので余り興味を持ちませんが、域外の商品には大変興味を
  持ちます。それもそこいらのスーパーで売っていない商品です。それらは容易に他の地域の道の駅から仕
  入れる事が出来ます。地域間交流の一環としての企画であると位置付ければ、その地域のお客様は抵抗
  無く受け入れて下さいます。

  是非、冬場には他地域の道の駅産品の島(コーナー)を作って下さい。それと単に並べるだけでなく
  ご自身で試食してどういう商品かを充分理解した上で、POPをきちんと作ってPRして下さい。

B販売を増やす為にはリピータ-作りが必要です。

  良くCRMとか横文字マーケテイング用語を使い、顧客の囲い込み方法として顧客名簿を作る、メルマガを配
  信する、DMを活用する、会員向け特典を付与するとか言われておりますが、私は余りこのような手法が道の
  駅に馴染むとは思っていません。
  私自身も馴染みの酒屋、床屋、それと行きつけの飲み屋がありますが彼らは私に住所を聞くなんて野暮な
  ことはしません。行く行かないは私の自由で‘来てくれ’なんてやられたら逆に引いてしまいます。

  リピーター作りの要諦は客を管理することではなくて、目の前のお客様をその場で掴むことです。難しいこと
  ではありません。声を掛けて会話をすることです。道の駅の駅長さんなら瞬時にしてお客様が地元の人か、
  遠くから来られた方かが分かる筈です。車のナンバープレートを見ればどこから来られたかも分かります。

  遠方より来られたお客様は

     ‘どこから来られたのですか?’

     ‘わざわざお越し頂きありがとうございます。’

  この言葉だけで心に染みるものです。

   そのお客様はいずれ再訪されます。

  その時に

   ‘一ヶ月前にXXから来られた方ですね?’

  と声を掛けることが出来たら間違いなくそのお客様は道の駅のファンになります。
  そこからリピーターという関係性が始まるのです。
  私はこのような手法が日本人には向いていると思っています。道の駅の皆様も是非お願いします。


   冬場に備えてということで述べさせて頂いておりますが、実は冬場とか夏場と関係なく基本的な販売手法
  とも言えます。

  是非とも参考にして頂ければと思っております。


執筆者

未知倶楽部室 室長 賦勺尚樹

ページTOP