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未知倶楽部コラム

情報は金になるか(その2)

2007年08月27日

情報を発信しても金にならないという道の駅の一部の方々の考えには、(その1)で述べたような 「情報タダ論」が影響しているのかもしれません。しかし、そのような妄信から目を覚 まし、もっと積極的に情報を収益と結び付けて考えれば良いのではないかと考えま す。例えば、情報提供に関わるコストに見合う収益をきちんと上げるなどです。商行 為における消費者とのコンタクトポイントは当たり前ですが、商品化された産品、 サービスしかありません。情報収集、ネットへの書き込み等の作業をする為には当然 労働コストが発生しております。その分は確実に収益として取り戻す必要がありま す。であるからこそ価値のある情報が必要となるのです。また、私は情報は金になら ないのではなく、情報を元に金を生み出す仕組みを考えれば、商業的な価値のみなら ずもっと大きな誇りとか高い次元の価値をもたらすと信じています。

それでは道の駅における情報の価値とは何か。

地域(地元)の人は道の駅に行き、真新しい情報に接することは少ないでしょう。何 故なら彼らはそこに住んでいるからです。しかし、遠方の域外の人間にとってはどう でしょう。地域ではどうってことない情報が域外の人にとって非常に高い価値をもた らすかもしれません。その情報を頼りにその村なり町を訪れば彼らはそこでお金を落 とし、また人とのつながりを築き、地域は大きな精神的な自信を持つことが出来ます。 つまり同じ情報でも人と立場によって価値が変位するということです。

更に、私はこのように考えます。情報発信に価値を置く道の駅は外向きであり、逆に 情報に余り価値を置かない道の駅は内向きであると。地域がどのように発展して行く べきか、そしてそのなかで道の駅がどう位置付けられるべきかが、その内向き論と外 向き論での違いを生み、どの立場を取られるかは各地域の自由です。しかし、私は外 向き論の方が正しい選択だと信じております。

一般論ですが、地域の人が活き活きとそして明るく住んでいることを域外の人が知る ことが出来れば人が集まります。‘住んで良し、訪れて良し、町づくり’というある 高名な方がおっしゃった言葉を思い出します。‘住んで良し’とは地域住民が楽しく 生活していることです。‘訪れて良し’とは地域住民が活き活きと生きている様を外 の人が見て、感じて、そして関わり、訪れて良かったと思うことです。しかし、現実 にはその前の‘訪れさせる’という行為はそう簡単ではありません。何故なら、‘住 んで良し’と‘訪れて良し’との間には大きな隔たりがあるからです。この両者の架 け橋がとどのつまり「情報」なのです。

質の良い情報を提供すれば域外からの訪問者は増えます。ではどうしたら質の高い情 報を発信することが出来るのでしょうか?実はここがそう簡単ではないのです。良い 情報はそもそも魅力的な地域からしか生み出されません。何故なら魅力的な地域は地 域内の魅力的な事象を探し出す術を持っているからです。では魅力的とは何か?それ はどう感じるかです。全ての地域が全国ブランドを冠することが出来る資源を持って いません。ないものねだりをしてもしょうがありません。あるもののなかでその魅力 を探し、そしてその魅力を育て、輝かせるという地道な努力が魅力的な情報に繋がる のです。そしてその魅力は地域自身の主体的な意志で探さなければ継続的な魅力発信 は出来ません。IT技術などは瑣末な話であって、それを操作する術は高い技術を要 するものではありません。自分が出来なくてもネット文明と携帯文明に浸っている子 供でも出来ることです。それよりも大切なことは情報を生み出す力と描く力です。こ れはIT技術者には無縁の世界です。ハードに金を掛けてもソフト(中味)がなけれ ば無駄だということです。

最近道の駅を緊急時対応の拠点として位置付けられる動きがあります。それは非常に 意義のある動きです。但し、緊急時対応とは基本的に緊急情報の連絡がスムーズに行 なわれて初めて効果を発揮するものです。しかしながら、この緊急情報の連絡です が、緊急な事態ではそう簡単に稼動しないのが現実です。日常的に地域ネットワーク を持ち、地域情報を収集し、そして適切に発信することが出来ていないところで緊急 という異常事態に効果を発揮することなど出来る筈がありません。日常性の力が緊急 時に活かされるものです。

少々長い文となりましたが、改めて情報について述べさせて頂きました。

未知倶楽部は情報が地域に高い価値をもたらすことが可能であると信じており、その 考え方にご一緒頂けれる道の駅の皆様と歩んで行きます。

「情報は金になるか」(その1)はコチラから
執筆者

未知倶楽部室 室長 賦勺尚樹

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