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未知倶楽部セミナーレポート

「道の駅 価値創造セミナー」のご報告

2005年10月31日、標記セミナーが開催され(主催:株式会社日本総合研究所)、160名を超える多くの方にご来聴をたまわりました。誠に有難うございました。
このセミナーの中で、私たち未知倶楽部室が提唱する「道の駅ブランディング事業」の理念と目標についてご説明申し上げたところ、多くの方からの強い反響を得ております。
今後も「利用者の求める新しい道の駅」の姿を追求し、各種の事業に取り組んで参る所存です。どうぞご指導、ご厚情のほどをお願い申し上げます。

セミナー講演内容

1.基調講演

国土交通副大臣(当時)の岩井國臣参議院議員より、「これからの道の駅」と題して基調講演をいただきました。ご発表の要旨は次のとおりでした。

  • 道の駅には“地域の顔”“地域の玄関”としての性質が期待されているが、情報発信機能や地域交流機能がまだまだ弱いのが現状である。
  • グローバリズムや市場原理が押し留められないとはいえ、心の社会、信用の社会を忘れてはならない。競争社会の進行は避けられないにしても、魂のこもった「モノ」の世界とどう折り合いをつけてゆくのかが今後の社会のあり方として重要な課題となる。
  • こうした課題を解決する考え方が“贈与経済”である。道の駅は贈与経済の中心核として、地域社会の活性化を担う場となりえる。

岩井國臣参議院議員の理念と活動については、氏のウェブサイト
築土構木(http://www.kuniomi.gr.jp/) を通じて詳しくお知りいただくことができます。

2.先進事例発表

全国三つの道の駅の駅長さんに、それぞれの駅のお取り組みをご紹介いただいたうえ、直面している課題と今後の対応方向についてご発表いただきました。

道の駅遠野 風の丘(岩手県遠野市) 支配人 吉田喜市氏
  • 遠野市内の観光と物産の発信の場になるように、専従職員を配置したインフォメーションを設けている。
  • 市内物産の展示販売に徹底しており、取り扱い物品の9割が遠野市内に由来している。
  • 市内滞在型の観光資源づくりが課題。「風の丘」にも、立ち寄り施設としてではなくて目的地としてお越しいただけるようになりたい。
道の駅とみうら 枇杷倶楽部(千葉県富浦町) 駅長 篠原茂幸氏(当時)
  • 施設内のギャラリーを活用した交流事業や文化事業に取り組んでおり、地域の再発見を図っている。エコミュージアム構想も推進してゆく。
  • 「一括受発注システム」を設け、地域への観光需要と地域内観光資源とを一元的に束ねて取り次ぐ役割を担っている。
  • 南房総にある9駅での連携を開始している。今後も協働できる部分は協力しあいながら取り組んでいきたい。
道の駅土岐美濃焼街道 どんぶり会館(岐阜県土岐市) 駅長 丹羽正孝氏
  • 従業員には、陶器を売る前に自分を売り込みなさい、と指導している。暇なときはお客さんと会話できるような売場づくりを目指している。
  • 顧客満足を高めるサービスを工夫している。そうしてお金を儲け、儲けたお金は地域内に還流させる、という哲学で取り組んでいる。
  • ブロック内の連携の次には、全国的な連携が求められる。そのためには、道の駅の価値をマネージする外部組織が不可欠だろう。

3.提言「ブランディング手法による道の駅の活性化」

未知倶楽部室の室長である賦勺尚樹、および、株式会社日本総合研究所の金子和夫上席主任研究員より、今後の道の駅のあり方について皆様にご提案をさせていただきました。

賦勺尚樹(伊藤忠商事株式会社 未知倶楽部室)「道の駅のブランディングの必要性」
  • 道の駅に対する一般的なイメージは分散している。一方で、“地域の良さ”や“ふるさと感”を味わう場として、道の駅に対する期待は高い。
  • このギャップを埋めることが道の駅の価値を高めることに繋がる。これを「道の駅ブランディング」事業と呼んでいる。
  • 道の駅を訪れることによって、その地域独特の物産や食品、そして“ひと”に出会えること、それが私達の目指すブランドコンセプトの形である。
金子和夫氏(株式会社日本総合研究所 上席主任研究員)「ブランディング手法を活用した道の駅の 価値向上」
  • 道の駅の価値をより高める方向性として、道の駅を核とした地域交流の促進、立ち寄り施設から目的地型滞在型施設への展開、および利用者と道の駅との双方向コミュニケーション、以上の3点を提案したい。
  • そのための仕掛けとして、駅長の顔の見える地域情報発信、複数の道の駅の連合化、ブランドマネジメント体制の整備、等の工夫が必要だ。

ご来聴くださった皆様のご意見

セミナー後には立食パーティ形式による懇親会も開かれ、来聴者、講演者を交えた親睦の機会となりました。

来聴者の皆様から聞かれた主なご意見
  • 単独の道の駅が頑張るだけではなくて、複数の道の駅での連合することによって、道の駅の価値そのものを高めることが重要であると認識した。(道の駅の駅長さん)
  • 県産品の販路開拓を通じて県のイメージアップ・ブランド向上に努めてきたところだが、道の駅という“場”を通じて県産品を捉えなおす、という発想を斬新に受け止めた。(行政関係の方)
  • 公共マーケット向けにITソリューションを売りこんできたところだったが、“地域情報の発信”というソフト面での提案力が求められていることを改めて実感した。(民間企業の方)
アンケート調査結果の概要
  • 今回のセミナーに対しては、多くの方からご好評を頂戴した。
  • 今後の道の駅セミナーで取り上げるテーマとして、「地域住民との連携」、「特産品の開発・販路開拓」といったトピックへの関心が高かった。
  • 道の駅の連携に対する必要性に関しても、多くの方が認識している。

セミナーにご来場くださった皆様にアンケート調査をお願いしたところ、多くの皆様にご協力いただきました。
ありがとうございました。

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