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未知倶楽部コラム

「山里」と「里山」

2006年6月30日

先日、私共の施設にご来店頂いたお客様が「山有り川有り、里山の風景が素敵ですね」とおっしゃいました。「里山の風景?・・・」疑問に感じました。
「山里」を国語辞典で引くと「山の中にある村里」とありますが、「里山」については載っていません。

最近、「山里」と「里山」を混同して、「山里」=「里山」と思い使用する人が多くなったように感じます。言葉も、「やまざと」より「さとやま」の方がイメージが良いのかも知れません。でも、山里と里山ではまったく違う。「里山」とは、本来は「里を守る山」の事で主に山を指します。

私共の地域の基盤産業は、林業です。「檜」、木曽檜、東濃ひのきの産地です。
(豆知識:「木曽檜」とは、天然木で官材を指し、「東濃ひのき」とは、植林された民材を指します。)
近くには、原生林・神宮備林があります。

檜の植林が盛んな頃は、広葉樹を伐採し、檜の苗を植えて、針葉樹ばかりの山を創りました。その事により、保水力が低下し、少しの雨でも増水し、長く雨が降らないと、川の水が渇水に近いくらいになってしまう。また、針葉樹だけでは、木に十分な栄養が行き届かないので、化学肥料を大量に使用し環境破壊に手を貸しました。

「森林」とは広葉樹、針葉樹がバランス良く育つ環境が良いとされています。広葉樹の葉は、針葉樹の栄養になり、冬の寒い時期に針葉樹が広葉樹を守っている。

では、「何も手を掛けない山が良いのか?」と言うとそうではありません。山は、ほったらかしにしてしまえば、荒れてしまう。そこで、必要なので「整林」です。その山に合った広葉樹と針葉樹のバランスを考えた森林創りこそが、里(人の住む場所)の生活を守ることになる。この山が「里山」の定義にあてはまります。

「長良川鵜飼」

この方が鵜匠さんです。 岐阜・長良川の鵜飼は全国的にも有名です。岐阜県に住んでいながら、この歳になるまで観覧したことが有りませんでしたが、先日初めて長良川鵜飼を観覧してきました。平日でさほど混雑しておらず、天候にも恵まれ絶好の観覧日でした。間近に観る鵜飼は、迫力満点。1300年の歴史を感じる趣があり、時の流れを越えた幽玄の境地でした。

炎が水面に映って、まさに幽玄の世界。
この日、鵜クンが獲った成果。立派なものです。
執筆者

道の駅きりら坂下 支配人/東濃道の駅連合会 副会長 三尾 弘成

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