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未知倶楽部コラム

「第16回西日本食品産業創造展‘06」に出展して

2006年5月31日

日刊工業新聞主催 第16回西日本食品産業創造展‘06
期間:平成18年5月17日〜5月19日
場所:福岡県福岡市マリンメッセ

大分県大山町は昭和36年に始まったNPC運動(『梅栗植えてハワイに行こう!』の方が有名かも)で米作を捨て梅と栗に特化する農業を選んだ町です。その後45年間で、一村一品運動発祥の地・パスポート取得率日本一の町などで地域活性化の成功例としてその分野では有名な町となりました。特産品の梅加工品をはじめ、地元野菜・きのこなどの農産物や水・自然に恵まれた地域です。そんな大山町に一昨年12月にオープンしたのが道の駅水辺の郷おおやまです。福岡都市圏から阿蘇・黒川温泉方面に向かう国道212号線沿いにあります。

さてそんな大分の田舎にある道の駅が西日本最大の食品見本市に出展した経緯をお話ししたいと思います。

道の駅も集客施設である以上、繁忙期と閑散期の売上のばらつきは避けられない!地域産品を生かして売上の安定化を図れないだろうか?という課題が私の道の駅開業前からの懸念でした。その懸念が現実になったのが昨年12月から1月までの例年にない積雪でした。国道の通行量は激減しそれに伴い売上も激減し2ヶ月間で820万の赤字を出してしまいました。

この危機的状況がまた来年も起こる可能性があると見た私と山内駅長は早急に外部に販売ルートを開拓し売上の安定化を図らなければと考えました。一般向けの通信販売は私が担当し、業務用の販売は山内駅長と担当を分け取り組みを開始しました。

山内店長は食品業界に30年以上携わった人物で西日本最大の食品展示会の開催企画委員を長年務めています。その企画会議の席上で主催者側から今年の展示会の目玉は何にするかという話になった時、山内駅長が道の駅を取り上げたら?と提案したのです。地方では商品開発や流通・販売ルート等の情報が入りにくい。地域振興の為に特産品作りを考えた、生産者・中小規模加工場向けの情報提供や相談の場と、それを具現化している道の駅出展を目玉に据えれば、生産者や行政、また飲食店関係からの集客が見込めるのではないのか?と。この提案は実際の生産現場を見てきた生の声として採用され道の駅水辺の郷おおやまがモデルショップとして出展することになったのです。そこで山内駅長はこの機会に業務販売ルートの情報収集及び取引を数多く成立させるため、中上料理長や地元生産者、デザイナー等の協力を仰ぎ次々に地元産品から新商品を開発し、自社商品とPB商品を100種類まで増やすことに成功。その開発した商品は道の駅内で試食販売を行いながら商品内容や販売方法を模索していったのです。

展示会出展が決定してからが大変です。生産者との打合せ、商品選定、プレゼンの仕方、造作や什器の手配、人員の確保等など多くの準備作業をやらねばなりません。特に重要視したのはいかに商品の付加価値を高めてプレゼンするかでした。中上料理長と相談の結果、地元野菜に関しては大山産ハーブで作った特製ソースと合わせて食べて頂く料理実演、リキュール酒に関しては日田市内外でバーを経営しているバーテンダー江田氏(彼はフレアーバーテンダーの世界大会で優勝経験を持つ)のカクテル実演を目玉にすることにしました。

さて展示会本番、どれだけのお客様が当ブースに来られるか心配でしたが、なんと初日から大賑わい、試食や試飲の時間は行列ができ、産直野菜が飛ぶように売れていきました。料理長の特製バジルソースも完売でした。会期中3日間で当ブースの来場者数/約5,000人、名刺交換/500枚、商談件数/200件、即売売上/200万円を超え嬉しい誤算でした。商談では毎週500人分の料理を作る結婚式場から有機野菜が欲しい、通販商品として取り扱いたい、柚子の原料が欲しい、道の駅を作ろうと思っているが相談にのって欲しい等々、新規マーケット開拓と情報収集が充分に出来ました。展示会初回参加としては大成功だったのではないかと思っています。現在駅長、私、料理長、営業担当が今回の情報をビジネスに発展させるため鋭意活動中です。

執筆者

株式会社おおやま夢工房 経営企画室長 三雲浩嗣
(元道の駅開業準備室室長、初代駅長)

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