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特産品の全国販路拡大 (2月実施アンケート結果から)

今回のアンケート調査のテーマは、「特産品の全国販路拡大」です。道の駅は地域住民と道路利用者に支えられて、地産地消に取り組んでいますが、地域の市場規模の拡大には限界があり、道の駅の成長限界に達しているところがたくさんあります。そこで、道の駅の施設外で、特に立地する市町村の外へ販路を拡大して、市場規模を拡大することが必要になってきます。
しかしながら、道の駅が納入業者から委託形式で商品を扱っている場合は、道の駅が得る手数料は10%から15%程度であるため、道の駅から市町村外の卸売業や小売業に流通させることは、取引先の利益がほとんどなく、取引は困難です。
今回のアンケートでは51の道の駅から回答を頂き、市町村外への販路拡大に取り組む道の駅は半数強と少なく、道の駅の販路拡大への取り組みは小規模に留まっていることがわかりました。

委託形式の取引を主体とする施設では販路開拓できない

道の駅が市町村外での販売活動に消極的な理由として、取り扱い商品は委託に頼る施設が多く、卸売業や小売業と取引できるマージンがないという問題があります。委託では道の駅の手数料が10%から15%程度しかなく、ここから卸売業や小売業のマージンを出すことは困難です。

生もの、手づくり加工食品の遠隔地の販売はコスト高

さらに道の駅では、野菜や鮮魚など生鮮品を主力商品とする施設が多く、遠隔地への生鮮品の配送は鮮度保持が難しいという課題がありました。クール便など配送時間を短縮する方法はありますが、配送費が上がるという問題が出てきます。加工品についても手づくりの商品が多く、賞味期限が短くロスが出やすいという問題もありました。

利益を追求するなら、独自で製造機能を持つ必要がある

市町村外への販売活動をおこなっている道の駅への取材では、販路拡大で利益を追求するのであれば、独自で製造機能を持たなければ難しいという意見が出ました。委託では利益率が低く、手づくりでは生産量にも限界があり、配送などのコストが割高になります。しかし、すべてを独自でおこなうのではなく、外部企業とタイアップした商品開発や、二次加工だけを外部に委託するなど、外部の力をうまく取り入れている施設もありました。

取引形態を委託から仕入、自社加工へ展開する

道の駅の商品の取引形態を整理すると、以下の4つが考えられます。

①の委託取引は、製造業や卸売業が委託形式で持ち込んで、道の駅は在庫リスクゼロで販売するものです。これは利益幅が10%から15%しかなく、道の駅から外部の卸売業や小売業に販売することはできません。

②の仕入取引は、製造業や卸売業から道の駅が仕入れるもので、在庫リスクを負うことになります。そのため、35%程度の粗利益を得ることができますが、それでも外部の卸売業や小売業に販売することは利幅が薄く困難です。

③の自社加工は、自前で加工部門を持つ、もしくは地域内の加工事業者と共同で商品を生産するもので、在庫リスクだけでなく開発や生産のリスクも持つことになりますが、製造原価は50%以下となり、道の駅で販売すると粗利益を50%とることができます。また、外部の卸売業や小売業に卸すことも可能ですが、卸売業や小売業から35%から40%のマージンを要求されると、道の駅の粗利益は10%から15%に減少してしまいます。

④の自社加工・広域商品は、外部の卸売業・小売業向けに、既存商品を見直して、容量、パッケージ、ブランドなどを変更した商品を開発することです。この場合、卸売業や小売業の販売力を活用して、地元価格の2倍の価格を実現することを目指し、その結果、道の駅は50(区成否としては25%)の粗利益を得ることができます。

このように4つの取引形態がありますが、道の駅は最終的には④を目指すべきです。


「未知スタイル」の本編では、この紙面で紹介しきれなかった分析結果と、各地の事例を詳細に掲載しています。あわせてご覧ください。

執筆者

未知倶楽部 編集部

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