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未知倶楽部コラム

消費者に支持される直売施設(11月実施アンケート結果から)

消費者の食の安全・安心への関心がますます高まる中、道の駅は地域で生産された青果物・生鮮品を新鮮なうちに手に入れられる場所として、消費者の熱い期待と注目が寄せられています。一方で、道の駅ごとに直売施設の運営レベルがまちまちで、「品質が悪いものを買わされた」「道の駅の生鮮品は高い」「量販店で購入するのと変わらない」といった残念な印象を持つ消費者が少なからずいることも事実です。

近年、大型量販店は地産地消の大号令を発し、地域の生産者から新鮮な野菜を直接買い付けして、地産地消コーナーを設けるようになりました。また、これまで地産地消に消極的だったJAも大型の直売施設を開設するようになりました。さらに、民間小売業が、道の駅の直売施設のノウハウを取り入れた店舗をチェーン展開する動きも見られます。

このように道の駅を取り巻く競争環境はますますきびしくなってきています。そこで11月度は、道の駅の直売施設について、アンケート調査を実施しました。

直売所は道の駅直営が過半数

運営主体は、「道の駅直営」という回答が51%を占め、直売所が生産者への単なる場所貸し施設から、道の駅の一部として一体的に運営される施設へと変化している傾向がうかがえます。

直売所の年間売上高は1億円前後

直売所の年間売上額は、1億円前後が最も高い割合を占め、約12億円を売り上げている大規模な直売所もありました。

日常的な品質管理を徹底する体制づくり

出荷時の商品の品質チェックは、多くの道の駅で日常業務として推進されていることがわかりました。その他、売れ残った商品の撤去要請や保存管理などもルールを決めて、気をつけている道の駅が複数ありました。
品質管理にあたっては、生産者組織が単体で取り組んでいる施設の他、道の駅の従業員と生産者が一緒になって組織をつくり取り組む施設も見られました。
消費者の「食の安心・安全」への意識が高まる中、日常的な品質管理を徹底するための体制づくりは最低限の取り組みとなっているようです。

商品の信頼性を高めるシステムづくり

さらに、商品の信頼性を高めるための工夫として、生産履歴の提出の義務化、エコファーマー認定の取得推進、トレーサビリティシステムの導入、残農薬検査の実施などに取り組む道の駅が目立ちました。生産者には労働やコストの負担がともなう取り組みですが、県や市の協力を取り付け生産者の理解と協力を得ようとがんばる施設も見られました。
また、信頼の商品を消費者に訴求するために、POPの工夫やタッチパネルの活用などをおこなっている施設も目立ちました。

PRを狙ったエキソト販売への取り組み

多くの道の駅が、商品PRを目的に、直売所の商品を施設内のレストランで利用していました。
そして、より積極的な施設では、地域の公共施設や学校給食、飲食店、宿泊施設など、道の駅以外への施設に商品供給をおこなっており、中には都市部のスーパー、レストランなどへの産直販売に取り組んでいる道の駅もありました。
地域のイベントで出張販売をするという道の駅も複数あり、駅の外に飛び出して商品PRをおこなう動きが増えているようです。

「道の駅ブランド」を商品の差別化とする

回答いただいたアンケートの約半数の道の駅で直売所は直営展開されており、直売所の直営化が進んでいる現状を反映した結果となりました。
そんな中、道の駅の名前をブランドとして商品販売に取り組む道の駅が複数ありました。
具体的には、「野菜は道の駅オリジナルの野菜袋で販売する」「都市部のスーパーで道の駅ののぼりを立てた販売コーナーを持つ」「道の駅のアンテナショップの出店を検討」などです。
絶対数は少ない回答でしたが、道の駅の成熟化にともないこのような取り組みは、今後、拡大してくることでしょう。

今回は、消費者に支持される直売施設と題して、商品の質の維持・向上策、ブランド力を向上させる工夫、需要拡大のための方策、一体的な運営体制などについて、検討してきました。
消費者にとって、直売施設は、道の駅の大きな魅力です。それだけに取り組み次第で、大きな効果が期待できる一方で、効果を上げていない道の駅も見られます。そこで、改めて直売施設のあり方を再認識して、消費者に支持される道の駅づくりに取り組むことが期待されます。
「未知スタイル」の本編では、この紙面で紹介しきれなかった分析結果と、各地の事例を詳細に掲載しています。あわせてご覧ください。

執筆者

未知倶楽部 編集部

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