魅力ある売場づくり(10月実施アンケート結果から)
物販施設を持っている道の駅は、利用者から「楽しい売り場」が求められています。一般のスーパーマーケットや直売所とは異なる公的な役割を期待されつつ、その一方で売場の魅力も高めなければならない道の駅は、売場づくりの具体的な取り組みについて悩むことも多いのではないでしょうか。
これまでの道の駅の売場は、生産者や卸売業者の立場でつくられた「モノを売る場」でした。これからは、お客様が「モノ」だけでなく、感動や気づき、生活提案など「ソフト」も含めて買い物を楽しむ「買い場」という発想が求められています。
そこで10月度は、「魅力ある売場づくり」をテーマとしてアンケートを実施し、規模・立地・特産品がそれぞれ異なる44箇所の道の駅から回答を寄せていただきました。
店頭・店外における工夫
最初に、利用者を道の駅の店内に引き入れるための店頭・店外における工夫について、おうかがいしました。回答を見ると、「イルミネーションやノボリ旗、看板などで通過客をひきつける」「七夕やクリスマスなどの装飾や植栽など季節の打ち出しを工夫する」「店頭での販売やイベント、試食などでにぎいを出す」、また、「環境美化や休憩スペースの提供」など、4つの取り組み分野があげられました。しかしながら、全体としては、積極的に取り組んでいるという意見は少なく、魅力ある売場づくりへの関心の低さが感じられます。
売場づくりの工夫
次いで、利用者の購入意欲を高めるための売場づくりの工夫、特に売場の分類についてうかがいました。全体的には、「品種単位の分類」、次いで「生活シーンの分類」、また「季節のコーナーの設置」が上げられました。「品種単位の分類」については、これまで生産者単位の分類、納入業者単位の分類が多く見られましたが、利用者から見ると、「品種単位の分類」のほうが買いやすいわけですから、確実に取り組みが進化していると考えられます。しかし、「生活シーンの分類」に取り組む道の駅はわずかでした。
商品の陳列の工夫
また、利用者の購入意欲を高める商品の陳列の工夫についてうかがいました。全体としては、「手書きPOPとレシピカードなどの工夫」「カラーコントロール、かごなどのツールを使いながら立体陳列でボリューム感を出す」「照明や棚を工夫した見やすい売場づくり」「ビデオや放送、ランキング表示などの生きた情報発信」の5つが上げられました。
売場づくりに関する年間予算
予算化しておらずゼロに等しいと回答した道の駅が11件、50万円以下が10件で、50万円以上100万円未満が3件、100万円以上500万円以下が1件、500万円以上が1件でした。
今後取り組んでみたいこと
最後に、魅力的な売場づくりについて、今後取り組んでみたいことを尋ねました。まず、「売場づくりの実施計画を持ち、予算化することが必要である」、ついで、「買い手の立場に立った売場づくりに取り組んで生きたい」、そのためには、「専門家や専門技術を活用する」とともに、「スタッフの育成に取り組みたい」という意見が出されました。
取り組んでみたいこと | アンケートの意見 |
実施計画をもち 予算化すること |
・予算が取れれば、入り口周辺の整備/龍神(和歌山) ・余裕がなく、十分に取り組めていないのが現状/蛍街道西ノ市(山口) ・定期的なレイアウト変更/龍神(和歌山) |
買い手の立場に立った 売場づくり |
・明るく、キレイ、見やすい売り場づくりに努めたい/蛍街道西ノ市(山口) ・食する事のイメージがわかるようなテーマを持って、作っていきたいと考えています/村岡ファームガーデン(兵庫) ・旬産旬食をテーマとし、スーパーとの差別化、季節感を大事にする工夫/しょうわ(秋田) |
専門家や専門技術の活用 | ・買い手が分かりやすいPOPや陳列方法を工夫していきたい/吉野路黒滝(奈良) |
スタッフの育成 | ・田舎での意識レベルの向上は、厳しく、そのほとんどがスタッフ個人の能力次第となってしまう。定期的に接遇マナー研修などを受けて育成したいと思う/加子母(岐阜) |
今回のアンケート調査から、①店頭における主張づくり、②見やすい売場分類、③買いたくなる陳列の技術、そして④売場づくりの仕組みの4点が整理されました。各道の駅においては、これらの事例を参考に、魅力ある売場づくりに取り組んでみては、いかがでしょうか。
執筆者
未知倶楽部 編集部