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未知倶楽部コラム

イベントによる集客力の向上(9月実施アンケート結果から)

道の駅は「地域交流拠点」としての役割が期待されており、地域の人たちと来訪者とがともに集う「にぎわいの場」として、あるいは地域の人たちと来訪者とを結びつける「交流の場」「情報発信の場」として、道の駅の果たすべき役割は大きいと言えます。
道の駅で実施するイベントも同様に、にぎわいづくりや交流の場づくり、情報発信などの側面を期待されている場合が多いものと考えられます。道の駅のイベントに訪れる人たちも、道の駅ならではの要素をそのイベントに期待しているのではないでしょうか。

9月に実施したアンケート調査(回答道の駅数63箇所)および未知倶楽部独自の取材を通じて、各道の駅からイベントに対する取り組みが寄せられました。以下、その内容についてご報告します。

まずは道の駅が年間どのようなイベントを実施しているかについてです。規模や頻度は道の駅ごとにまちまちですが、それぞれの地域資源や立地環境を活かしつつ、季節の題材をテーマとしたイベントを実施する道の駅が多く見られました。

(季節の題材の例)

  • 1〜3月:お年玉、凧揚げ、新酒、節分など
  • 4〜6月:桜、チューリップ、こいのぼり、山菜など
  • 7〜9月:七夕、花火、盆踊り、月見など
  • 10〜12月:菊、ハロウィン、クリスマス、餅つきなど

こうした季節のイベント以外にも、個性的な題材でイベントを実施する道の駅の例はたくさん見られましたが、スペースの都合上ここではそのうちごく一部を紹介するに留めさせていただきます。

展覧会、舞台 ・通年での絵画展・写真展/土岐美濃焼街道どんぶり会館(岐阜県)
・音楽活動を研鑽している市民による発表会/もち米の里☆なよろ(北海道)
伝統芸能、伝統工芸 ・門付万才(尾張万才)、山岡の土びな展/おばあちゃん市・山岡(岐阜県)
・薪能/朝日みどりの里(新潟県)
プレゼント・特売 ・道の駅併設温泉の入浴割引/蛍街道西ノ市(山口県)
・栗サービスデー、柿サービスデーなど(月替りのサービス品)/内子フレッシュパークからり(愛媛県)
特設販売、屋台村 ・屋台村/インフォメーションセンターかわもと(島根県)
・フリーマーケット/あらい(新潟県)、吉野路黒滝(奈良県)
道の駅の立地条件 ・観光ヤナを活用したイベント/白鷹ヤナ公園(山形県)
・海水浴場でのイベント/やす(高知県)
地元の特産品 ・新そば祭り(6箇所のそば店の味比べ)/一向一揆の里(石川県)
・シクラメンフェア/しょうわ(秋田県)
地域のイベントとの連携 ・勝頼公祭り(武田勝頼公最期の地)/甲斐大和(山梨県)
・子守唄まつり/子守唄の里 五木(熊本県)

また、道の駅がどのような効果を期待してイベントを開催しているか、その狙いを大まかに捉えると、次のような要素に分類・整理されることがわかりました。

  • 地域の住民を盛り上げること
  • 来客を促して売り上げ向上につなげること
  • リピーターを増やすための仕掛けをつくること
  • 道の駅および地域の情報を対外的にPRすること

それでは、これらのイベントを実施するに当たって、道の駅はどのような態勢で臨んでいるのでしょうか。8割近くの道の駅が「道の駅の自主企画で、自前スタッフで実施している」「地元の団体や住民と協力して企画・実施している」と回答しました。一方、「外部のイベント会社当に実施を委託している」とした道の駅はごく少数に留まっています。
ここから、自らの手で、ないしは地域との連携の中で、創意工夫しながらイベントを実施している道の駅の姿が明らかとなりました。

このことは多額の費用を掛けずに、かつより効果の高いイベントを実施しようとする道の駅の実態とも重なります。実際に、以下のような工夫や仕組みづくりが、多くの道の駅で実践されていました。以下に主な例を紹介します。

  • 地域のいろいろな主体との連携(自治体等との役割分担、地域にゆかりのある人の起用など)
  • 他の道の駅との連携(商品交流、共同スタンプラリーなど)
  • 企業との連携(メーカーの販促イベントとのタイアップ、マスコミの活用など)

最後に、道の駅が今度どのようなイベントに取り組んでみたいのか、その意向についても尋ねました。主な意見をまとめると次のような結果となりました。

  • 来客参加型のイベント:地域ガイドツアー、子供が楽しめる体験型イベント、等
  • 地元志向のイベント:官民一体の祭典、学校等の協力を得た地域密着イベント、市民農園、等
  • 道の駅どうしの連携イベント:道の駅どうしの商品交換、交流物産展、等

以上のとおり、多くの道の駅が、道の駅として期待されている役割に沿ったイベントを企画し実施するとともに、今後もそうしたイベントを開催したいという意向を持っています。
すでに実施している例においては、決して多額の費用を掛けるのではなく、むしろ道の駅や地域における手作り・協力・創意工夫によって、却って「道の駅らしい」イベントを実現しているようです。
一方で実際には、人員、予算、時間、スペース等の制約に悩まされて、なかなか思うようにイベントを企画できない道の駅も多いことでしょう。他の道の駅の取り組み事例も参考にしながら、そうした制約を克服し、より効果的なイベントを実現することが期待されます。

執筆者

未知倶楽部 編集部

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