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未知倶楽部コラム

「第1回道の駅をめぐるあったかエピソード大賞」審査結果

2009年3月10日

この度、「第1回道の駅をめぐるあったかエピソード大賞」を開催いたしましたところ、 お陰様で多数の作品をご応募頂きました。
ご参加いただきました皆様に対しまして心より感謝を申し上げます。
さて、今回公募しましたテーマは

【道の駅で出会った“未知のモノ”】

厳正な審査の結果、以下のとおり入賞作品が決定いたしました。

【審査結果】

【一席】
道の駅「桜峠」松木和美駅長
【二席】
ティークンさん(ニックネーム)
【三席】
「道の駅「土岐美濃焼街道どんぶり会館」丹羽正孝駅長

以上の3名の作品に決定しました。
受賞作品を以下に公開させていただきます。

「一席作品」

道の駅「桜峠」松木和美さんの作品

ある日のことです。

店に入ってきたおじいさんから

「お花を飾らせてもらえませんか?」

と言われました。

「お花?」

「販売ではなく、飾らせてほしい?」

最初は、何の事を言っているのかわかりませんでしたがお孫さんが、日本庭園の鯉が好きでよくいっしょに来ていたこと・・・

でも、病気で亡くなってしまい大好きだったこの場所にお花を飾りたいと思ったこと・・・

おじいさんの話を聞いているうちに、胸が熱くなってきました。

駐車場に停めてあるおじいさんの軽トラックには、プランターがいくつも載っています。

涙をこらえて、おじいさんといっしょにプランターを並べました。

毎日お水をあげているうちにどんなお花が咲くのか、私はとても楽しみになっていました。

そして、赤や黄色のお花が咲いた時。

お孫さんが、ニッコリ空から笑って見ているように思いました。

道の駅には、毎日いろんな方が来ます。

年配のご夫婦の方、旅行中の家族連れ、若いカップル・・・

ドライブに疲れて、休憩に寄る方もいますが訪れたお客様みんなが、幸せな気持ちになれるそんな駅でありたいと思います。

おじいさんとお孫さんの想い出のこの駅を私達が、これからも大切に守っていきたいと思います。

「二席作品」

ティークンさんの作品

わたしにとって道の駅は、初めは地産地消が目的でした。

ですからまずは、農産物直所。次に物産館でした。

今もそれは変わっていません。

でもひとつ、楽しみなことが増えました。

それは、地域の人とのコミュニケーション。

コミュニケーションと言えるものではありませんが、ちょっとした触れ合いを楽しんでいます。

昨年の夏に、東北を旅したときでした。

青森のある道の駅に行くと、もちろん最初に入ったのが農産物直売所です。

その棚においてあるビン。

なんだろうと手に取ったのですが、書いてあるのは、刺身とか素麺のたれ。
確かに中は、醤油らしき液体が入っている。

なんだろうと見ていると夫が横に。

「これ、何だと思う?」

と聞いたのですが、

夫は、

「たれなのでは・・・」

と書いてあることを復唱するのみ。

すると近くを通りかかったご年配の女性が、それを聞きとめて中を見た。

彼女も「たれって書いてあるわね」と一言。

それを聞いた連れの女性が説明を始めた。

一生懸命説明してくれるのだが、半分くらいしかわからない。

でもその一生懸命さに買った。

家に帰ってびんを開けると、たれです。

間違いなくたれ。

山ワサビの醤油だれでした。

もちろんお刺身にも使いましたし、素麺にも冷奴にも。

焼肉にも、野菜炒めにも、いろいろと使わせていただきました。

新潟では、沢山種類のある茄子の前で困っていると、地元の人が親切に教えてくれました。

山形では、岩海苔の前で、

「汁ものにいれて食べるみたいね」

と夫と話ながら、どれを買おうか迷っていると地元の方が、

「ちょっとあぶっておにぎりにしてもおいしいのよ。わたしは、あぶったあとにちょっと醤油をつけておにぎりにつけるの」と・・・。

更に、

「同じように見えても、味、香りが違うのよ。でも、わたしにもどれがおいしいのかはわからない。
食べてみると違いがわかるのですが・・・」 と・・・。

いろいろな土地で、いろいろな食生活があります。

それを地元の人から教えてもらったりできるので、やっぱり道の駅は、旅行にははずせない場所になりました。

人と人との繋がりも楽しめる道の駅は、わたしには、とてもあったかな場所です。

「三席作品」

道の駅「土岐美濃焼街道どんぶり会館」丹羽正孝さんの作品

「道の駅」土岐美濃焼街道どんぶり会館では、外部への一方的な情報発信にとどまらず、地域に愛される道の駅づくりとして道の駅産品交流コーナーを設営し、他地区の駅長・支配人のおすすめの「すぐれもの」や「一品」を紹介販売しています。
(街道文化の宿場町づくり)

5年前から少しずつ産品を増やし、現在青森から九州までの産品をそろえています。

人々は全国各地に何かと係りをもっているものです。

出身地、仕事先、旅行先、友人先であったり、いろいろあります。

そうした中、どんぶり会館の「産品交流コーナー」で出会ったお客様とのお話を紹介します。

愛媛県「道の駅フェア」の折、40代女性が産品の前で身動きせずじっと立止まっていました。

「いかがですか」

の声賭けに彼女は涙ぐみつつ

「とても嬉しいです」

と話しはじめました。

「愛媛で不幸があったが事情があり帰れませんでした。
今こうして数々の思い出のある産品を目の前にして古里を身近に感じ思い出しています。」

おそらく身内の不幸であったのでしょう。それ以上の会話は、私から出来ませんでした。

またある時、80代の女性から青森でしか買えない産品に出会えたと喜びながら、

「どうしてここにもりたの産品がありますか。」

と尋ねられました。

簡単に道の駅連携交流事業を説明し

「出身地ですか」

と伺ったところ

「私の実家は弘前です。もりた、つるたには親戚があり青森がとても懐かしい」

と嬉しそうに話し、最後には、

「もう私の実家は誰もいなくなり私は高齢なことと足が不自由なことで青森に行くことはありません。どんぶり会館には来れる限り来ますのでいつも青森産品を並べておいてください」

とおっしゃりました。

彼女は青森でしか手に入らない産品に出会えたことに感動すると共に、私に向かって深々と頭をさげました。

道の駅産品交流コーナーがお客様に喜ばれる結果、自身が「すごし場」をもっと提供できるように励まされていきました。

そしていつものようにふらりと産品探しに他の道の駅へ訪ねる糧となっています。

今年はすでに山形・青森・秋田・千葉・富山・香川・南紀を訪ねています。

おそらくまたいますよ。

どこかの道の駅の駐車場に私が。

【総評】

SNSコミュニティサイト「未知倶楽部カフェ」にて会員様の記事を読みますと、時折、心にぐっとくる道の駅でのエピソードがございます。

けれども思い出やエピソードというものは、なかなか表に出る機会がありません。

今回初めて実施しました「道の駅を巡るあったかエピソード大賞」は、皆様の心に眠る素敵なエピソードを発掘したいという想いから新しく企画致しました。

第1回のテーマは『道の駅で出会った“未知のモノ”』

少し難しいテーマだったかもしれませんが、道の駅を通して感じたことや学んだこと、発見したことなど、ささやかながら心温まる作品が集まりました。

選考のポイントと致しましては、具体性のあるもの、テーマに沿った内容であるもの、心の変化や心の触れ合い感じられるもの、等、文書の成り立ちだけでなく、読み手を惹きつける「ストーリー性」に着目しました。

人やモノとの出会いは、時に大きな感動となり、生きる力になることがあります。

入選された三作品をお読みいただくことによって、心あたたまる「道の駅への旅」をお楽しみいただけたらと存じます。

◆一席:松木和美さんの作品

花を購入する、ではなく花を飾りたい、という会話からはじまった、あるおじいさんとお孫さんのとても切なく悲しいエピソード。

道の駅を訪れた一人のおじいさんの大切な思い出を受け止め、おじいさんの願いを共に叶えた道の駅「桜峠」の松木駅長。
お2人の無垢な心の通い合いが、読み手の心を打つ作品です。

様々なお客様が訪れる道の駅は、ある人にとってはかけがえのない大切な場所であることが少なくないのかもしれませんね。

作品を読むうちに鮮明に映し出される、赤や黄の花の色、晴れた空、天国のお孫さんの笑顔。

この経験を通して、道の駅を守り育くんでいきたいという誓い。
訪れた方が幸せな気持ちになるような道の駅でありたいという願い。

短くシンプルな文章から、リアルな情景と真っ直ぐな想いが広がる、応募作品の中でも群を抜いた作品でした。

◆二席:ティークンさんの作品

道の駅ではちょっとした触れ合いを楽しんでいるというティークンさん。
農産物直売所の前でご主人や地元の方々と会話をしながら、楽しく特産品に触れる姿がコミカルに描かれており思わず吹き出してしまいました。

ティークンさんの旅の中には“あったかな場所”として「道の駅」が存在しています。
遠く離れた道の駅で「未知のモノ」と出会うささやかな体験が新鮮に、そして微笑ましく伝わるエピソードでした。

◆三席:丹羽正孝さんの作品

地域に愛される道の駅づくりとして産品交流コーナーに力を注ぐ道の駅「土岐美濃焼街道どんぶり会館」の丹羽駅長。
全国各地に自ら「すぐれもの」を仕入れに飛び回る丹羽さんの原動力は日々訪れるお客様とのかけがえのない交流や地元の方々を愛するあたたかいお気持ちなのでしょうね。

これからも、訪れる人々の笑顔が溢れる「すごし場」を築き上げていただきたいと願います。

【最後に未知倶楽部より】

今回もたくさんのご応募ありがとうございました。
入選された皆様には後日、協賛道の駅より素敵な商品をお送り致しますので楽しみにお待ちくださいませ。
尚、ご応募いただいた作品は、未知倶楽部ウェブサイトの充実のために活用させていただきます。
次回の「第2回道の駅をめぐるあったかエピソード大賞」の開催につきましては、詳細が決まり次第、会員様向けのメールマガジン及び、未知倶楽部ウェブサイト上にてご案内させていただきます。
次回も多くの素晴らしい作品と出会えることを心待ちにしております。

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