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未知倶楽部コラム

情報についての雑感

2006年8月9日

人間が生きていく上で、最も大切なことは正しい情報に接して、対処することです。誤った情報では緊急時にパニックに陥り、命を落としかねません。誤った情報により人を誤解し、その人を傷つけることもあるし、そして傷つけた人が無垢(Innocent=無知)であればあるほどに、その人は人を傷つけた行為言動以上に後々傷つきます。また、誤った情報によりかけがえのない時間を無駄にすることもあり、また大切なお金を失うこともあります。

かつて、正しい情報にたどり着くことは大変でした。

昔の図書館を思い出してみましょう。学術的な書物はカード目録からキーワードを元に、著者、出版社、サマリーを頼りに適切な本を手に入れました。大抵、頭の良い人は一番効率的な手法で最も適切な文献と巡り会え、そして短時間で大意を理解したものです。それはある種の「コツ」であり、その「コツ」は一朝一夕では身につきません。苦節何年、試行錯誤の繰り返し、そして根気、集中力、執念により身につけるものです。また、ある種の直感であり、右脳の世界の話とも言えます。容易に正しい情報に辿れつけないことが常態化しているが故の磨かれる技です。

ところが最近の情報です。インターネットに向かい検索サイトから検索ワードを打ち込み、エンタ-キーを押すと怒涛の如くそのキーワードに関する情報が現われてきます。また、雑誌も嘗てより遥かに多く出版され何を信じたら良いのか判らないうちに、情報の選択を迫られます。

情報の渦の中で、身動きが取れない。こんな現象に疑問を持つことなくひょっとしたら我々は相応しくない情報に基づいて行動しているのかもしれません。

さて、ちょっと話題を変えて「旅行」について考えてみます。

都会のサラリーマンにとって旅行に出る機会は限られています。
大型連休、夏休み、年末年始休暇。いわゆる数日を越える宿泊となると年3回程度かもしれません。その限られたチャンスにどこへ行くか選択を迫られます。旅行におけるハプニングは良い思い出になるし、それは歓迎すべきことかもしれません。しかし、普通の人は無難に過ごしたいものです。ハプニングにおけるプラス面と裏腹にマイナス面を受け入れるリスクを考慮に入れてです。

東京ディズニーランドが何故あれだけの集客を誇れるのでしょうか?
それは、どんな人でも、一定以上の満足感を得ることが出来るからです。

何故、著名な温泉は人を集めれるのでしょうか?
これも同じくどんな人でも一定以上の質(浴場、宿泊施設、料理)が確保されているからです。加えてブランド力があるのかもしれません。

それでは道の駅を核とした地域です。

ここは一部を除いて全国的に認知度が決して高いところとは言えません。
しかし、私は個人的には好きです。時々、地域の人にあそこには全国的に有名な温泉があるからそこの有名な旅館で宿泊されたらいかが、と推奨されることがあります。しかし私には余りには興味がありません。多少施設が劣っていても、多少寂れていても、そこがのんびりとして良いからです。そこが地域らしさがあって良いからです。しかし、一般の人にとってはやはり近づきがたいというのが正直な気持でしょう。

そこで再び情報の話に戻します。地域から発信する情報のことです。

このようになかなか域外の人にとり、近寄りがたいと思われている地域の情報ですが、それを既に知名度がある観光スポットと同じ様な手法で発信していて良いのか常々疑問を持ちます。

地域には地域ならではの情報の発信の仕方があるのではと感じます。
情報源の選び方、またはその情報の編集の仕方等です。

若いカップル、ファミリー、アクティブシニア、一人旅を愛する人、あるいは釣り人、山登りを愛する人、海を愛する人、写真愛好家、。。皆求めているものが違います。

そこを考えると当然、地域資源の整理、つまり対象者にフィットした資源があるか、テーマがあるか、あるいは地域資源を元に何が他の地域と差別化が出来るモノとコトがあるか、それを元に誰をターゲットに訴求するかなど考える必要があるのではないかと思います。そのような思考法のことをを‘編集’と呼びます。地域には‘編集力’が求められていると思います。

未知倶楽部が駅長さんの生の地域紹介文、あるいは駅長さんが推薦する地域の名人、達人にこだわっていることにはきちんとした理由があります。

地域にはなかなか入り込めない。地域を知らない。何故なら、地域には知り合いがいないから。だから行きづらい。この連鎖を断ち切るためには‘人’が前面に出なければいけないと考えるからこそ私は駅長さんの生の声をそのまま紹介しているのです。また、この生の声を通じて読者の人は、そこに何かワクワクするものがあると期待してくれれば良いなという読みもあります。

駅長さんとお話していていつも思うのですが、大抵の場合、無意識に、地域のとんがりの話をされています。無意識を認識化すること。これが‘編集術’であり、これこそが未知倶楽部の腕の見せどころだと思っております。

あの駅長さんの考えが素晴らしい。あの駅長さんはユニークである。。。。
あの駅長さんの笑顔が素敵である。。。

それらは都会の人と地域を結び付けるコンタクトポイントです。だからこそ駅長さんは大切なのです。

最後に、氾濫した情報に打ち勝つ唯一の手法は、‘人’そのものを信じることではないかとつくづく感じます。地域側からすると、‘人’を通じて、信じさせること、そのことにより始めて地域は全国的に有名な観光都市との差別化が図れ、打ち勝つことが出来るのではと思っております。

是非、掲載して頂いております道の駅の方にはどしどし生の声を発信して頂きたいと思います。

執筆者

未知倶楽部室 室長 賦勺尚樹

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