秋田紀行 ひぐらし 道の駅さんない
2006年8月8日
私は常々、地域の人にとって日常的なものが、都会人にとり非日常的であり、このギャップこそが高い価値を生み出すということを唱えておりますが、その一例を『道の駅さんない』(秋田県横手市)で発見しました。
8月4日『道の駅さんない』にお邪魔しました。迎えて下さったのは下タ村駅長さんと稲葉支配人代理です。当地は杉で有名なところです。
この道の駅の左手の駐車場の端には出来たばかりの遊歩道があります。
木で出来たくねくねした階段を上り切るとちょっとした休憩所があり、訪れたとき既におじさんがすやすやと昼寝をしておりました。
そこから更に杉の森深くに入れる林道があります。
歩くこと数分。
既に天高く伸びた杉の木の自然の世界です。国道の車の音は遠ざかり、自然の息吹と霊力を感じます。太陽の光が遮られ、ひんやりとした冷気が流れております。
そしてそこでふと足を止めます。
すると林全体に鳴り響く音が聞こえます。
ひぐらしです。
都会にもセミの音が聞こえる今日この頃です。
しかし都会のセミはミンミンゼミ、アブラゼミ、ツクツクボウシが殆ど。夏の風情ではありますが決して美しい音とは言えません。けたたましい音。うっとうしい音。これが都会のセミの鳴き声です。
ところがひぐらしは違います。
この杉の木が雄雄しく聳え立つ森にはひぐらしの音がこだまします。一つの音が終わると、次の音が響く。あたかも多数のひぐらし同士が諮ったように。
このひぐらしのシンフォニーに聞き入ると自然と時間の経つのを忘れてしまいます。
下タ村駅長曰く、地元に人は良く聞いているが、取り立てて深く感じることはないとのことです。
私は、このひぐらしの鳴き声を聞くだけでもこの道の駅を訪れてもよいとすら感じます。
他、この道の駅及び周辺で魅力的なスポットは以下のとおりです。
(1)山内焼きのお地蔵さん。可愛い手を合わせその間には小さな玉があります。施設を少し上ったところに工房がある。
(2)国道を渡ったところにあるウッディプラザ木の香で売られている動物、クワガタをモチーフにした木工製品。斬新なデザイン。
(3)筏の大杉。 樹齢千年を超える。残念なのは近づけないこと。
(4)南郷温泉。古い施設だが泉質は優れている。肌がつるつるになる。
興味深い資源がこの小さな村にはあります。是非、下タ村駅長さんに詳細をお尋ねして訪れてみてください。
地域周辺をご案内頂きました下タ村駅長さんありがとうございました。
執筆者
未知倶楽部室 室長 賦勺尚樹