食についての雑感
2006年6月14日
日本の食を守ろうというムーブメントについては私が敢えて唱えるまでもなく色々な団体、学者の方がなさっているのでここで改めて述べることはしませんが、全国の地域を巡りまわっていると全く同じような考えが湧き起こり、そして日に日にその思いが強くなります。
昨年の3月、東濃道の駅連合会(岐阜県)と共催で「道の駅フェスティバル」を行ないました。(その時の模様はこちらから(旧コンテンツを表示します))そのなかで日帰りバスツアー企画を行なったのですが、道の駅の駅長さんと相談して提供すべきは100%地元料理と決めました。
ケイチャン(鶏肉のバーベキュー)、ほうば寿司、自然薯、山岡の寒天料理、東濃の田舎味噌をつかったみそ汁(酸味が強いので玉ねぎが入っている)、川魚の甘露煮、へぼ(黒スズメバチの佃煮)。。。。。
主に名古屋から来られたお客様が多かったのですが、こんなに変わった美味しい料理がこんなに近くにあるとは知らなかったという意見が多かったです。
さて、東京にはかなり多くの郷土料理屋があります。地域ブランド確立の流れのなかで特産品だけでなく料理を通じた食文化を東京に普及させようとする動きが活発です。
大変良いことです。
多様な文化のメルティングポット(るつぼ)として今まで東京は海外から積極的に新しい料理を取り入れてきており、フランス料理、イタリア料理、中華料理、トルコ料理の領域ではひょっとしたら本国より質の高い味を提供することが出来るようになったのではと思います。
ここで更に東京が国内のあらゆる料理を食べることが出来るところとなれば、日本国の懐の深さ、すその広さをより一層実感出来ることが出来るのではないかと思います。
私たちは外国のお客様が来られると必ず定番であるすき焼き、てんぷら、寿司、鉄板焼きをご馳走したがりますが、それは安直な対応であり、時には相手に合わせることなく色々な郷土料理を食べさせたら実は大変感謝されるのではと思います。よく考えると、私自身が海外に行くと相手は私の舌に合わせた料理を出そうとはしません。自国、自分が最も愛する料理を出すのが最大のおもてなしだと信じているからです。それで良いのです。それが文化です。時々お腹をこわすこともありますが。
さて、道の駅の話に戻します。
私は道の駅を地域の文化の集積地であると位置付けております。特産品、青果物はかなり地元のものに拘っております。でも料理となるとまだまだ地域の尖がりに欠けているところが多いのではと感じます。
色々な考えを持つ人がいますが、私は道の駅こそが郷土料理、地域料理という食文化を保存し提供しつづける場であって欲しいと思っております。
地元ならではの美味しい味は旅人の舌に永遠に刻み込まれることとなるでしょう。是非、ホームページのなかでも積極的に郷土の自慢料理を発信して頂きたいと思います。
執筆者
未知倶楽部室 室長 賦勺尚樹