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未知倶楽部コラム

小さな一歩

2007年02月09日

私は色々な地域の人たちとお話する機会を 持っております。

地域の人が全て素晴らしいなどと媚びるような 言い方はしません。都会にも地域にも、日本にも 外国にも色々な人がいます。素晴らしい人、そうで ない人。普通の人。
また素晴らしい、そうでないの基準も私の個人的な 物差しでしかありません。私自身の物差しだって 必ずしも皆と同じでは有りません。

そうすると素晴らしい人とそうでない人ははっきりと した定義づけをしなければなりません。主観から可 能な限り離れて客観的という立場で。あるいは主観を 可能な限り客観的な言葉に置き換えて。

私の考える素晴らしい人。
それは、限りなく自己犠牲が出来て、そして自分 の優れているところを誇るのではなく、困っている人 に人知れず捧げることが出来る人。そしてどんな 状況でも少しずつであろうが前進する人です。

さて、地域の話です。

地域は本当に経済的に困っているなとつくづく感じ ます。例え都会の人が羨む大きな家に住んでいようが、 大きな公共温泉に浸ることが出来ようが、また大きな公 園があろうが、そんなハードを持っているかどうかで地域 を評価できません。無駄と称されている公共施設を抱えた地域の人たちは、 都会の人が考える以上に困っています。

それでは何を困っているか。
それは何かを生み出す力が十分発揮できていない ことです。

貧富は金銭的な問題、物質的な問題です。
日本国が2千年の歴史のなかで、これだけ全ての人に 一定の豊かさが普及し、人々がそれを享受できた時代はありません。 かつては食うにも困る人たちで溢れていました。そのような 事例は今では一部の例外を除いて殆どありえません。
また金銭的な問題とか物質的な問題はあくまで 相対的な問題です。私が小学生の時は未だ 電話機すら十分普及していませんでした。車も 大金持ちでなければ持っていませんでした。 持つ、持たないは相対的であり、現在の物資的な豊かさも 過去に比べればより豊かだといえますが、未来に比べれば 今は貧しいかもしれません。従い、この問題は 実はあまり重要とはいえないのではと思います。

大切なこと。
それは現在どのような状態にあろうが、一歩でも 前進しようという姿勢があるかどうかです。

この前進しようとする気持ち、これを豊かさという のであって、それは物質的なものではなくより精神的な 問題だと思います。

それでは地域です。今、地域はもがいています。 最後のもがきともいうべき悲痛な局面にあるところが 多いです。都会の人たちなら直ぐにも投げ出したいような 局面です。

そのような局面に置かれていても小さな一歩を 踏み出している人たちがいます。

大きく沢山売るより、こつこつ良いものを作って売ろう。 小さな資源を大切に見直そう。
一度にたくさんの人を集めるより、少なくても来て 頂いた方一人一人のお客様を大切にしよう。

規模ではありません。そのような小さな一歩は必ず報われます。

小さな一歩を大切にしている地域の素晴らしい 人たち、そして自分だけではなく皆と連携して共生を 図ろうとしている素晴らしい人たち。

私はそういう方と知り合い、そして友情を重ねる 喜びを感じております。

小さな一歩。これを大切にしましょう。

執筆者

未知倶楽部室 室長 賦勺尚樹

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