未知倶楽部コラム

佐田岬

2007年01月29日


四国最西端の佐田岬半島。

 北は瀬戸内海(伊予灘)・南は宇和海・西は豊後水道に九州へ向かって細く指差すように伸びている日本一細長い半島です。瀬戸農業公園からは南北二つの海を展望できます。

 平地のほとんど無いこの地域は、海に近いところに集落が点在しています。畑は、山にへばりつくように段々畑が山頂まで石垣で造られ、夏はさつま芋、冬は麦を作って生計をたてていました。私の小学校時代はもう四十年も昔になりますが、集落から見えた段々畑に黄色く色づいた麦と新緑の木々、抜けるような青い空の風景はいまだに私の心を癒してくれます。

 地域は高齢化も進み私の自宅周辺も空家が増え、子供の声も聞かれなくなろうとしています。山は畑からみかん園地にかわり地域の一時代を支えたことは事実です。地域農業・政策に意見を言おうとは思いません。今あるものを作り変える人も資金もありません。既存の施設・農業を大切に守り発展させることができないのでしょうか。

 私自身、ツーリズム協会の理事であり、農業体験塾の塾長であり、地域のこどもたちと大人のサークル「佐田岬語ろう会」の会長もしています。道の駅で働いていることにより必然的にうまれたグループですが、自分自身ほんとうにたのしいひとときを作ってもらっています。

 愛媛県の南予地域は県内でも格差がひろがり、県も活性化が大きな責務と考えています。いろいろなところから、いろいろなコーディネーターと言われる方が来られて、地域活性化の事例報告ややり方の提案などが月に何回と行われています。いつも思うことは地元が動こうとしないこと、なにかしたいけど一歩が出ない人、そんなことしてどうなると批判する人、これが地方・過疎地域の現実だと思います。日本人が忘れてしまったもの。三十年ほどの間に地元も地域を忘れ変に都会じみました。それも決して悪いことではないと思いますが、地域をささえるのは人です。地元に似合うものは、その地域にある人の営みであり、農村景観であり、地域ビジネスだと信じます。

道の駅は地域に何が出来るのだろう。

 全国に道の駅があり、それぞれが地域の担い手としてみなさん頑張っていらっしゃるのは事実です。しかし全国に同じ商標をもつ道の駅という施設でありながらお互いのつながりは無い、隣の駅もなにも知らない。行政管轄が違うからといって道の駅どうしが何も知らない、また知ろうともしない、行政もかかわろうとしない、こんなのは何か変です。

 隣の駅はうちの商売敵だ、と思ったりすること無いですか。同じルートで隣がなかったらみなさんうちに立ち寄っていただけるのにと・・・

 今、私たちの地域では、道の駅の連携をしましょう、お互い「道の駅」の情報発信をしましょう、と話をしています。南予地域での広域連携による、商品の見直し、広域の特産品開発・販売、広域での観光、広域連携によるツーリズム観光など会議があるごとに話を出します。 愛媛県からも「成本さん、道の駅が中心となって、地域情報の発信、道の駅の連携による広域特産品の開発、広域観光の拠点になってくださいよ」と私のところへ直接来るようになりはじめました。今年度中に連携できる道の駅さんとは連携しながら愛媛の道の駅でおもしろさを発信できたらと思います。

 私の考える「道の駅」のもう一つの顔があります。近く起こるだろうと言われている南海地震などの災害時の避難・情報発信の位置付けがあります。現在、車社会の中、県外からのお客様が多く利用されている道の駅にこそ重要性があると思われます。

 既存の道の駅に対して、必要ないとか、赤字経営はけしからんとか言われたりすること無いですか。

 農産物の販売、また情報発信することによる地元の民宿への観光客誘致など、地元と密接にかかわっていることを認識してほしいと思います。地元のアイデアで道の駅は必ず進化します。地元の方々と情報をやり取りし、地元の農家・民宿・などなどが道の駅と連携し、道の駅が隣の道の駅に地元情報をながし、県外とのつながりを持つなか、地元商品を私以上に県外の道の駅が愛着をもって大切に思っていただけること、それがどんなにすばらしいことか・・・
(愛媛県の道の駅さんこの指とまれ)

四国最西端佐田岬半島・四国最西端の「道の駅」瀬戸農業公園から

執筆者

道の駅瀬戸農業公園 成本利久

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