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未知倶楽部コラム

「道の駅」管理のこぼれ話し

2007年01月15日

 一般社会でのモラル(マナー)低下が言われて久しいですが、前回出稿のゴミやトイレ以外の実態と 管理面でのこぼれ話しを少々。


◇◇◇ ガ ム ◇◇◇

 これは昔からあります。なにしろ「ガム剥がし剤」なるものが開発されているくらいですから。 当駅でもご他聞に漏れずガムの害は少なくありません。施設前の広場スペースは石畳のような造りに なっていますが、あちこちに黒いものがこびりついています。これが「吐き捨てガム」の末路。 吐き捨て直後は他人の靴底にくっつきますが、時間が経つと黒く汚れてなかなか取れなくなります。 プロの掃除屋さんが使う道具(スクレーパー)まで常備が必要です。年に何度かは石畳の上を這い回っ てガムを剥がしています。
 びっくりするのは店内にも多くのガムが吐き捨てられることです。当駅の施設内床面は全面が磁器 タイルです。この床で毎日のように踏みつけられたガムを発見します。 最近は粒状の小さなガムもあるため量が少なく目立ちませんがガムはガム。非常に厄介者です。 よく考えると、靴を脱いで歩く場所ならガムの吐き捨ては(たぶん)無いのでしょうね。


◇◇◇ 盗 難 ◇◇◇

 理屈抜きに「犯罪」です。ちまたでは万引きに罪の意識を持たない人が増えているらしいとか。 「万引き」という言葉が悪い、何故「窃盗」と言わないのか・・・その通りだと思います。 併設の物産館でも商品(主に土産雑貨)が紛失(?)しているようです。 商品以外にも年間数件の盗難(と思われる)事故が起きてしまいます。最近起きた???な事件第1号は 「モップ」です。トイレ掃除用のモップを用具室に置いていますが、夜の間にトイレットペーパーの 予備と共に消えてしまいました。もちろん周辺を探しましたが所在不明です。 トイレは年中無休24時間オープンで、掃除道具等は一括して保管しているのですが。 ???な事件第2号は購入して間もないテレビのリモコンです。古いテレビの画質が急に劣化したため、 薄型のプラズマテレビを購入しました。チャンネル争いにならぬよう、観光案内カウンターの上か内 側(来館者の手が届く位置)に置くようにしていたのですが、あるとき無くなっていることに気づき ました。売店のスタッフが触れることはなく、事務所の1-2人が操作するだけのもの。
 いずれも目撃者はなく、確証はありませんませんが、盗難・イタズラと思うほかありません。 店内にはフリーの情報誌やパンフレットの他に、閲覧専用の地図帳やガイドブックも置いています。 表も裏も所有者名がマジックで大きく書いてありますが、よく紛失(?)します。 少しでもわかりやすいものを、と地域限定版の地図帳を購入しましたが一週間と持ちませんでした。 こうなるとどんなポスターや注意書きも役に立ちませんね。 営業終了後も「のぼり」やテラス用のテーブルセット、自販機ゴミ箱などは外に出した状態です。 めったに盗難には遭いませんが稀に「のぼり」が紛失したりポールが折れていたりしますし、ゴミ箱 破損の被害に遭うこともあります。悲しいことですが防ぎようがありません。


◇◇◇ 駐車場 ◇◇◇

 当駅にはわずか50台分しか駐車スペースがありません。(他に大型3台と身障者用1台) ピークシーズンは不足がちとなるため多少のことは目をつぶらざるを得ません。そうは言っても大型 や身障者専用スペースが一般の乗用車で埋ってしまうと困ったことも起きます。。 観光バスが入ってきても停める場所がなかったり、前後を挟まれて出発できなかったりすることも。 郊外型SC等でも車椅子(身障者)専用スペースが健常者の車で満杯になっている場面を見かけます。 そんなときに限って車椅子使用の方が駐車できずに右往左往してしまいます。 お客様商売だから排除する訳にはいかない、というのもわからないではないのですが・・・ 「いじめ」といういやな言葉がはびこるようになって久しいですが、弱者をいたわるやさしい心を育 てるより受験目的の教育を選択してしまった日本社会へのしっぺ返しなのでしょうか。
 当駅では少ない事例ですが、狭い駐車場が大型トレーラーの仮眠に使用されると「ディーゼル音」 に悩まされることになります。保冷車であったり運転席の冷暖房だったり理由はあるのでしょうが、 何時間もエンジン音が耳に入ってくるのは大変なストレスとなります。最近目につくのはエンジンを 切らずにロックして車を離れるドライバーが増えたことです。どうやらエアコンを入れたままにして おきたいから、らしいのです。公的駐車スペースであっても、アイドリングによる周辺への騒音・排 気ガスの影響は強く意識してほしいものです。


◇◇◇ かわいい子らよ・・・ ◇◇◇

 時には天使にも見え、悪魔にさえ見えてしまうこともあるのが小さな子供さんですね。 ほとんどの場合、無邪気な遊び心で行動してしまうものですが、時には迷惑がられることも。 店内を走り回り柱や椅子に衝突して大泣き、商品を落としたり壊したまま走り去る、道の駅スタンプ をところかまわず押しまくる・・・心臓に悪いことをつぎつぎに目撃してしまいます。
 親は見ていないか、見ていないふり? 残念ながらきちんと公共の場としてのルールを教え説く場に 出くわしたことはありません。子供は家庭や学校だけでなく、あらゆる場所で多くの人と接すること により社会というものを肌で感じ学んでゆくものです。塾やゲームに多くの時間を費やしてきた世代 が父母となっている今、体験的に社会からルールを学ぶことは難しくなったのでしょうか。


◇◇◇ 無料、フリー、タダ ◇◇◇

 みんなこの言葉には敏感に反応するようです。 道の駅には様々な無料のパンフレットが置いてあります。旅行中は周辺のガイドや地図のあるものが 重宝されますが、使う使わないを考えずに全種類持ち出ち出す人も少なくありません。 とにかくタダだから・・・捨ててもいいから・・・一応もらっておいて・・・あの人の分も・・・
実際にドライブの友となり有効に活用されるものは少なく、多くは紙くずとなってしまうようです。 施設内のゴミ箱や駐車場にたくさん捨てられているのを見ると残念な気持ちでいっぱいになります。 私の世代で使い慣れた言葉「もったいない」が出てしまう瞬間です。パンフレットの多くは国の関係 機関や自治体が作成していますが、部数も限られます。有益に活用して欲しいと望むばかりです。 又ここだけの話し、いつまで置いても減らないパンフレットもあります。多くは公的刊行物です。 作る側の思いは理解できますが「お、つかえるぞ!」と一瞬で見抜かれないパンフレットは残念なが ら「廃棄物」となります。


◇◇◇ 道の駅は格好の宣伝の場? ◇◇◇

 道の駅には多くのポスターが送られてきます。年間100は超えるでしょう。 道(県)内各地のイベント告知ものが多いようです。(よくわからないものも中にはあります) 人が集まる場所に置きたい、掲示したい、気持ちはわかりますが、道の駅利用者(ドライバー)の目を 引き留められるポスターは1割に満たない?と勝手に思っています。もちろん選挙ポスターのように びっしりと並べるほどのスペースもありませんので、独断と偏見で選別させていただきます。 道の駅ですからドライブとか観光をイメージできるものを選んでしまいますが・・・ 中には『○△の日』と大きく書かれた公的(?)ポスターも何度か来ますが、掲示してもほとんど注目 されることはありませんし、残念ながらその効果も期待できないように思うのです。 (全国に配布されるこの種のポスターはどれほどの種類・枚数が作られているのでしょう?)
最近は各種情報誌、テレビ、インターネット(携帯含む)で簡単に情報が入手できます。事前に調べて ドライブに来られる方も多いでしょう。告知用のポスターの役割がちょっと少なくなっているのかも しれません。せっかく大金をかけるのですから、企画段階から掲示場所や見る人を想定し「告知力・ 誘客力」のあるポスターを是非作ってほしいですね。(言うほど簡単ではないのは承知ですが)


◇◇◇ 観光案内 ◇◇◇

 道の駅には「観光案内」という看板が案内カウンターの上にぶら下がっています。 当駅では専属の係が常駐しているわけではなく、事務所の女性職員と私で対応しています。 観光案内の難しいところは、質問が地元のことに留まらず北海道全域にまで及んでしまうことです。 観光施設や道案内だけでなく草花の名前から開花時期、鳥や動物、魚介類まで出てきたりしますので ゴメンナサイもたびたび。インターネットで調べると何でも来い!ですが回線がISDNなので・・・ 「なんでも答えられるのが観光案内所だろう」と、時折厳しいご意見もいただきます。 サロマ湖は周囲が90kmを超える大きな湖ですが、町内の湖畔域は20km程度に過ぎず残りは別な市・町 の管轄になっています。(観光客にはサロマ湖はひとつの湖であり行政区域など関係ありません) 案内用に周辺の詳細情報や地図を揃えたくても簡単ではありませんし「帯に短し襷に長し」です。 思ったものが見つからないので自分で作ってしまいました。(残念ながら配布用ではありません) 最近は自治体の予算も厳しくなり余るほどパンフレットは作れないようで、依頼しても1部だけ・・ のこともあります。本当は自分の足で全てをチェックしておきたいのですが・・・ 全国の道の駅でも情報集め(しかも最新の)には苦労していることと思います。
 もう一つ観光客の期待に添えないのが「宿泊予約」です。(もっぱらピークシーズンに集中) 宿泊の予約業務(代行)は旅行業の範疇になってしまいますし、かといってサービスで宿泊先を探し回 ることにも限度がありますので、施設の情報提供やリストのお渡しに留まっています。 有名な温泉街でも地元にあれば通年での専門的な対応も必要になるのでしょうが・・・

流氷の季節を迎えようとしている厳冬期の「道の駅サロマ湖」にて。
執筆者

道の駅サロマ湖 杉本武雄

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