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未知倶楽部コラム

情報を編集する必要性について

2006年09月25日

第一回目の情報大賞を発表させて頂いたこの機会に情報とは何か、どのように伝えてゆくのか等についてお話します。

情報はありとあらゆるところに存在しております。

朝起きて感ずる暖かい光、窓を開けて見える緑の景色、あるいは小鳥のさえずり、テレビをつけて知る事件、職場で出会う上司の顔色、お客様の人数と表情。。。。人間が一日24時間生きているとすれば夢の時間も含めて常時情報が身の回りに流れています。但し、それらの殆どは認識化され、価値を置き、そして伝えるという作業にまで発展しない、いわば状態化された情報の空気のようなものともいえます。

人間が認識化するためには脳が大きな役割を演じます。脳は情報を蓄積するところですが、併せて整理するところでもあります。人それぞれ棚の数と形が異なっております。優劣はありません。有用と思われる情報 だけをその棚のある位置にしまい、無用と思われる情報はどこかそこいらにほったらかしにします。コンピューターの世界ですとさしずめ、無用な情報は「ごみ箱」→「削除」をして「空」にしますが、人間の脳はそのようなことをせずに無意識の世界(右脳)に全て溜め込みます。従い、人間にとっては無用と思っている情報でも捨てることはしないので、ある意味で無用な情報は一切存在しないともいえます。そもそも人間は動物から進化して意識化することに長けるようになった存在に過ぎないので、土台となる無意識の世界が消え去ることはないのです。

このように人間はありとあらゆる情報に常時取り巻かれておりますが、極めて主観的にあるものを有用とか、無用とか判断しています。たとえば「今年の中日ドラゴンズはきっと優勝する」と熱狂しているドラキチがいます。しかし、ジャイアンツファンは興味を示しません。多分、不快感を表すでしょう。まして、野球を知らないヨーロッパ人にこんな話をしても野球とは何か、どんなルールで成り立っているのか、どれだけのチームがあり、何故日本人が愛しているのか、そこから説明をしなければなりません。実際、私は経験しておりますが、ほとほと疲れてしまいました。つまり、情報はある目的性を持って存在しているということです。そして情報は共有化をして始めて価値を見出すものであります。

また、ある情報を通じて人を幸せにする、あるいは人を蹴落とす。あるいは儲ける、騙す。。。。様々です。情報とはある種の恣意性に基づいているともいえましょう。

前段が長かったですが、そこで道の駅から発信していただく地域情報の話です。
先ず整理をしましょう。その為に以下、順だって考えてみましょう。

@何のため、誰のために情報を発信するのでしょうか。
Aその為にどのような情報を選択するのでしょうか。
B選択した情報をどのような手法により効果的に発信するのでしょうか。

別の表現をしますと、情報は先ず、収集して整理して、統合して、そして届けることであり、この一連の作業を「編集」と云います。この編集作業が優れている場合、効果的な結果を出すことが出来ます。つまり訴求力のある情報のことです。

色々な地域をお伺いしておりますと、小さな道の駅でも沢山の観光パンフレット、ガイドブック、広報資料が置いてあります。よく胸を張って、「うちらの市はこんな立派な地図入りのガイドブックを作った」とおっしゃる代表の方がいます。私のように全国津々浦々の情報分析を常日頃から行っている人間からしてみますと、これらの資料の長所、弱点は瞬時に分かります。細かく読む必要はありません。キャッチフレーズと項目を見るだけで分かります。相当なお金をつぎ込んで作られたパンフレットなので余り失礼なことは言えないので、大抵の場合「良く出来ていますね」と答えますが、一方で「これを読んで本当にこの町、村を訪れたくなるのかな」と内心では心配してしまいます。

上段で、ドラゴンズファンと興味のない人との間では絶望的な位に情報の共有化がなされない話をしました。 そうです。情報は先ず共有化させなければいけないのです。その為には読む人の心にぐさっと突き刺さる鋭さが必要です。その為には近隣の道の駅で発している情報とは完全に一線を画す、あるいは隣の県とは峻烈に違った色と光を発する情報を選んで発しなければいけません。尤も、その前に自分たちの地域資源とは何か、一度整理しなければいけませんが。そして何よりも自分たち地域を愛してくれる人を選んで、その人だけを見つめて発しなければ本当の質の高い受容者を満足させることは出来ません。
その場合も、誰が自分たちの地域を愛してくれそうなのか、良く見極めないといけませんが。

一度、皆様の地域でも「情報」についてより深くお考え頂きたいと思います。

未知倶楽部としても今後セミナー、このコラム、掲載頂いている道の駅の皆様に限定してお届けしている未知倶楽部通信(瓦版)等で引き続きお話をさせて頂きます。
執筆者

未知倶楽部室 室長 賦勺尚樹

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