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未知倶楽部コラム

『道の駅の、その先 〜丹羽さんの視点〜』 (第7回 「海外版道の駅―タイの地域振興から学ぶこと」)

2011年03月31日

2007(平成19)年にタイ東北部の「産業村」へ現地調査に行きました。その在り方をさまざまに調べ、日本の知見と経験を生かした運営改善案を策定するためです。

タイの村々には産業村としてのコミュニティーがあり、「一村一品運動」の行政指導の下、農作物の合い間に作った篭や布製品などが販売されています。地域産品による経済振興という点で、日本の道の駅とよく似ています。

ここでは、むしろ日本が学ぶことがたくさんあることに気付きました。

ウドンタニー県バーンチェン村の産業村では、トイレが有料で約10円でした。日本の道の駅では、利用マナーがどうあれ、常にお客さまからクレームを付けられ、すべてが管理者の責任となり、「無料が当り前」です。そうした中、産業村のトイレの在り方は、われわれの道の駅でも参考になると思いました。

タイの人たちの結束力の強さも印象に残りました。昔、日本の各地域では、「普請」という無償の共同労働の習慣がありました。時代とともにそうした助け合いの姿は廃れ、金銭という対価が求められるようになり、人と人との結び付きが薄くなりました。産業村の運営に住民が協力し、ボランティア労働によって運転資金の備蓄を図り、節約にも心掛けているタイの人たちの姿は、私たちの今後を考える上で格好の見本になる気がしました。

道の駅が栄え、発展し、地域振興にも結び付くには、やはり人と人との結束力が鍵と思われます。何よりも地域の「絆」こそが大切なのです。

(全8回 毎週更新)


(岐阜新聞連載コラム「素描」より転載・改題<平成22年12月18日掲載分>)

執筆者

道の駅 土岐美濃焼街道どんぶり会館 駅長 丹羽正孝

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