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未知倶楽部コラム

『道の駅の、その先 〜丹羽さんの視点〜』 (第3回 「私の旅」)

2011年02月14日

青森から鹿児島まで、仕事と趣味を兼ねて車で一人走りながら「道の駅」を視察するのが楽しみです。これまでに約500カ所を訪ねました。方向と帰る日を決め、道の駅で情報を得て地域を周遊し、エッセンスに触れる。それが私の旅です。

道の駅で得る情報はいろいろですが、一番は地元の人がしてくれる具体的な話です。その情報からさらに別の人とも知り合え、後でその旅を思い出した時、景色や食べ物よりも「人」が思い浮かび、「風土」をあらためて実感するのです。何よりの思い出です。

「風呂」も楽しいものです。なまりのある地元のおしゃべりを聞くのが最高です。秋田、青森などでは、さっぱりわかりません。濁音が多く、早口で、独特の抑揚もあり、まるで外国にいるよう。湯につかり、会話を聞いていると「遠くに来たんだな」という実感に包まれます。

夜の居酒屋も、大切な情報の収集場です。昔ながらの、女将が一人で切り盛りするような店がぴったりです。そこには地元の常連客がいつから、お互いに1杯交わせば1回の酒席が100回の出会いに勝るほどの価値があり、貴重な話が聞けます。

さて、道の駅の情報提供もいろいろありますが、これからは地域の人々を核に「風土性」をアピールすることです。どの土地にも、伝統工芸家やそこに伝わる「漁」「猟」など、生活の技の名人・達人が必ずいます。その方々の思い入れ、こだわりなどの話を聞く機会を構築することです。そこにしかない人物像はとても魅力的です。本当の人と人の交流が生まれます。


(全8回 毎週更新)

(岐阜新聞連載コラム「素描」より転載・改題<平成22年11月20日掲載分>)

執筆者

道の駅 土岐美濃焼街道どんぶり会館 駅長 丹羽正孝

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