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未知倶楽部コラム

第8回 道の駅価値創造セミナーのご報告

2010年12月27日

セミナー会場風景
セミナー会場風景
未知倶楽部が出来て丸5年、価値創造セミナーも第8回目を迎えることが出来ました。数回前から参加者は限定させて頂いております。

さて、今回の参加者です。道の駅側は月刊誌『未知スタイル』をご購読頂いている方、企業側は未知倶楽部と既にビジネス実績のある方とこれから行うべく準備をしている方、換言しますと、総じて道の駅の‘あるべき姿’、‘今後目指す姿’をどうするかについて真剣に考えている人たちを中心に集まって頂きました。

岐阜県土岐美濃焼街道どんぶり会館、滋賀県湖北みずとりステーション、石川県すず塩田村の3つの道の駅より事例紹介を頂いた後で、小職より未知倶楽部の狙いと今後のビジネス作りについて説明を致しました。

道の駅の認知度は数年前と比べますと飛躍的に高まっているという事実に安堵することなく、継続性のあるビジネスの仕組みを早期に創り上げる必要性について具体例を元に述べさせて頂きました。

未知倶楽部というのは所詮ネットワークです。具体的な商材を所有しているのではありません。地域の人、都市部消費者を意識している道の駅と企業を結びつける装置です。言葉的に通じない場合の通訳です。

この‘結びつける’という意味ではセミナーは成功したと思います。
問題はこれから。。

企業と道の駅を結びつけてどのような具体的なビジネスを創り上げるかです。セミナーは契機に過ぎません。

未知倶楽部 賦勺尚樹

第8回 道の駅価値創造セミナー 2010年12月8日 伊藤忠商事竃{社ビル会議室

<第1部 プレゼンテーション(事例紹介)>

丹羽 正孝氏
丹羽 正孝氏
プレゼンテーション@ 「これから(本来)の道の駅」
道の駅 土岐美濃焼街道 どんぶり会館 駅長 丹羽 正孝氏


【道の駅の課題と対策】

 地域に愛される道の駅となることが必要だ。
──域外からの旅行者だけでなく、地域の人々を楽しませることは経営の安定につながる。

【産品交流の価値と集客】

 産品交流は地元のリピーターを作ることに役立つ
 他地域の産品を通じて情報を発信することで、地元の人たちにとって興味深い「過ごし場」になる。

【これから(本来)の道の駅(懐の大きな道の駅)】――明日の我が身はドライブイン?

 高速のSAPAは民営化以来大きな経営努力を払って進化している。道の駅は農産物の直売が受けているが、競争が激化しており、新しい魅力を付けていかなければかつてのドライブインのように時代から取り残されることになる。
 すべてを自分の駅の中で完結させようとするのではなく、地域に“山の駅”や“畑の駅”といった提携先を作り、町の店舗とも連携して、道の駅を訪れた旅行者に紹介して、共存共栄するのがこれからの道の駅である。

田邉 理人氏
田邉 理人氏
プレゼンテーションA 「『ガイヤの夜明け』放送を終えて。」
道の駅 湖北みずどりステーション 駅長 田邊 理人氏


【反響:『ガイヤの夜明け』放送を終えて】

 レストラン開店前に行列ができるなど、認知度が上がった。

【課題:地域の人々を如何に巻き込むか】

 農業者と従業員の消費者サービスに対する意識レベルの低さと向上心の欠如を痛感。
 行政とのつながりだけに頼らず、道の駅が独自に地域住民のネットワーク作りを推進することが課題と認識。

【施策:取材後の主な取り組み】

 直売部門で運営規約を制定。陳列日数を設定し、在庫・品質管理の責任の所在を明確化した。また、共同運営団体である農産物直売組合との間で役割を整理した。
 地域のイベントや勉強会に積極的に参加。「小鮎の天ぷら」の出張実演販売を実施。「湖北道の駅情報交換会」を発足した。直売所とまちづくり関係の勉強会に出席

【今後:これからの挑戦】

 来年の大河ドラマの主人公「江」の出生の地が近いため、多数の観光客を予測。おもてなしを強化したい。旅行会社などとのタイアップによる集客を行いたい。
 地元商工業者とのつながりを密にし、周辺観光・物産資源を再発掘する。
 体験農園の整備。自社単独では採算が取れないので、周辺の農家・若者・学生を巻き込んだ体験農園に取り組む。

オラナフ・レイチェル氏
オラナフ・レイチェル氏
プレゼンテーションB 「An American in Noto」
道の駅 すず塩田村 Ms. Rachel OLANOFF(オラナフ・レイチェル氏)


【プロフィール】

 アメリカ合衆国ミシガン州生まれ。子供の頃から日本に興味を持つ。
 日本への留学後、英語補助教員として来日。本年4月より道の駅すず塩田村の運営会社に就職。

【これまでに達成したこと】

 塩の資料館の解説ビデオを英訳。また、アメリカの塩専門家の著作で塩田村が紹介された。

【これから実現したいこと】

 塩の資料館のサービスを改善すること。製塩と里山・里海の関係を説明したり、体験メニューを増やすなど。
 宣伝の方法を工夫すること。英語版のパンフレットやウェブサイトを作る。
 海外向けに販売の仕組みを作ること。輸出先を積極的に開拓する。

道の駅 すず塩田村 横道駅長

【オラナフさんに期待すること】

 短期間にいろいろな気づきを提案してくれている。国際化対応を始め、彼女にしかできない仕事がたくさんある。
 彼女のように高い志を持った若者が日本でももっと出てきてほしい。

賦勺 尚樹氏
賦勺 尚樹氏
 「『未知倶楽部』 今後の展開について」
伊藤忠商事梶@自動車ビジネスクリエーション室室長 賦勺 尚樹


【未知倶楽部のテーマ】

1) 道の駅の潜在的な価値に光を当てる。
2) 道の駅同士を繋げることにより総合的戦略的展開図を描く。
3) 道の駅のブランドを確立する。

【成立させる為の条件】

@ 情報化(情報収集力、編集力、発信力)
A 連合連携化と地域ネットワーク強化
B 評価基準の明示
C 都会企業との協業によるビジネス作り(資金を循環させる仕組み)

【未知倶楽部の沿革】

@ 2004年に活動を開始し、東濃や津軽の連合を実現。
現在348の道の駅に登録して頂いている。道の駅全体の37%を占めるに至った。
A 道の駅の実態を正しく伝える責務を自覚し、マスメディアの取材への協力を行っている。
B 行政に協力して、道の駅の多様な活用策の提案を行っている。

【2010年の道の駅と未知倶楽部の状況】

@ 地域文化のフロンティア(前線)である道の駅への注目度が高まった年だった。
A 未知倶楽部ウェブサイトや未知スタイルを刷新。ウェブサイトのページビューは前年比2倍に伸びた。
B 京王百貨店(新宿)での催事やクラブツーリズムとのツアー(北海道)を開催した。

【未知倶楽部の今後のテーマ】

1) 未知倶楽部ウェブサイトを通じた道の駅支援策

@ クーポン発行機能・・・ウェブ上で道の駅が簡単にクーポンを作成できるようにした。単独の道の駅での企画、複数の道の駅で連携した企画、企業と連携した企画の3種類の企画について、今後支援していく。
A 産品交易機能・・・ウェブ上で他の道の駅と産品情報の交換ができるようにした。
B 特設広告バナー・・・現在掲載しているソフトクリームクーポン特集のように、登録道の駅が行う企画への集客に役立ててもらうため、トップページの目立つ場所に広告を掲載することができるようにした。

2) 特産品販路拡大

@ 特産品ネット通販・・・ファミマ・ドット・コムのショッピングサイトで未知倶楽部のコーナーを設ける予定である。産品の流通は日本アクセスが担う。道の駅は特産品の卸機能を持つことで、今までとは異なる形で地域に貢献できるようになる。
A 特産品催事販売・・・都市部での集客力ある催事の機会を道の駅に対して提供していく。2011年は東京の京王電鉄グループ、日本アクセス、伊藤忠ショッピングサービスなどと協議を進めている。

3) 着地型観光の推進

道の駅を核とした新しいツーリズムを実践していく。道の駅単独では継続困難な取り組みを未知倶楽部が共同で推進する。地域側の企画は道の駅と共に行い、都市側での集客は顧客基盤のある大手旅行会社と協業する。両者の得意な部分を組み合わせ、未知倶楽部が間をつなぎ、全体をコーディネイトする。

<第2部 産品交流会>

特産品の品々
特産品の品々
各道の駅が持ち寄った地域の特産品を紹介し合う「産品交流会」を開催。活発な商談が行われた。

道の駅からの意見

より多くの道の駅にこのセミナーに参加してもらい、交流を広げたい。
5年、10年先を見据えた新規事業として市内の“買い物難民”と言われる高齢者への宅配サービスを開始した。
売上だけで道の駅をランキングして評価するのはやめてほしい。指定管理制度で自治体が委託先をどのように評価、選定するのか注視している。テナント契約は業務委託契約とするべきだ。

企業からの意見

 量から質の時代に転換しているとつくづく感じている。スケールを追究するばかりでなく、心を大切に商売したい。
 道の駅の皆さんの地域にかける思いを知り、いろいろなビジネスを一緒にしたいと感じた。
 全社をあげて地域を元気にしようと取り組んでいる。道の駅には消費者の関心が集まっている。
執筆者

未知倶楽部事務局

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