HOME > 未知倶楽部コラム > 「求められるサービス」と「求めたいマナー」

未知倶楽部コラム

「求められるサービス」と「求めたいマナー」

2007年10月22日

北海道は既に冬です...?(季節は秋でも動きは冬=10/13初雪も降りました)
付近の田畑も初冬収穫のビート(甜菜)を残して収穫が終わりました。
利用者の数はピーク時の2割〜1割にまで減っています。
年間のオンシーズンは正味4ヶ月に満たない地域でもあります。

そんなヒマになった10月のある日、乱れたパンフレットを整理していた私に旅行中の男性が声を掛けてきました。
『無料で周辺の地図が手に入らないでしょうか?無ければ有料でもかまいません』
私は公的機関が発行した地図と、箱の隅に残っていた旧版の道の駅マップを手渡しました。

無料の地図を出しておくと何万部あってもたりません。駐車場に捨ててあったりもします。
その男性が曰く「100円とか200円払ってもいいから使いやすい地図が欲しいよネ」個人的にはまったく同感ですが、地図というヤツは版権や編集のコストが高いものです。

地図に関して言えば北海道開発局(国交省)などの公的機関が年に2〜3種類発行します。
素晴らしいものですが、配布先が多いためでしょうか、入手できる部数は僅かになります。
道の駅のパンフレット棚に入れたら数時間で配布終了となり一日と持ちません。
地図の入ったパンフレット類は皆さんが欲しがります。(周辺に詳しい人まで)

最近、アジア系の観光客が増えたため韓国語と中国語の北海道地図が送られてきました。
アジア系観光客へのサービスの一環として北海道観光連盟が中心となり作成したようです。。
外国人用であり部数も多くはないので『日本人の方ご遠慮ください』と張り紙をしましたが、
持って行くのは日本人ばかり、説明をすると「じゃあ日本語のをよこせ」です・・・

なかなか減らない退屈なパンフレットには、周辺地図を併せて印刷するに限ります。

配るに配れない中途半端な部数の地図の行く末は・・・
バックヤードに保管されますが、「本当に必要」としている方々に渡します。
(それにしても先着数名、数十名です。入手できない多くの方ごめんなさい)

簡易な地図・案内図の類いは車に持ち込んでも二度と使われないことが多いものです。
(自分の経験から確信しています)知りたい部分はパンフを手に取った時に見ているものです。
更に、カーナビが普及したため地図を使わない人も増えています。

例えば、観光バスのドライバーさん、ガイドさんは有効且つ大切に使ってくれます。
お客様に少しでも地域の情報を伝えるために活用しています。
個人のドライバーでもナビも地図も入手できないまま走っている方もいます。
観光案内所で説明をしながら独断と偏見に基づき、在庫があるときは手渡しをします。

-----------------------------------------------------------------------------------------

そんな裏話も交え立ち話をしていましたが、ゴミの問題に話しが移りました。
『大した量でなくても捨てる場所が無く困っていました』立ち寄る道の駅で「お伺い」をたててもダメだったようです。不法投棄が多いご時勢に正直な人だなぁ〜と思いました。

車で旅行中に一番困るのはゴミの処理です。買ったその場で全て消費すれば問題はないのですが、容器や梱包剤などが残ることも多くどんどん溜まってゆきます。
「ゴミは持ち帰りましょう」はマイカー日帰りには問題ないのでしょうが、数日間レンタカーで回るような場合には簡単ではありません。飛行機で大きなゴミ袋を持ち帰るには無理があります。

最近は旅館やドライブインも館内で消費したもの以外のゴミは厳しく制限しています。
この10年ほどで持ち込みゴミが急増し、廃棄のコストが大幅に増えたからです。
そして観光客や一般ドライバーのモラルも急激に低下しています。
双方の言い分ともに理解できるのですが、いつまでも平行線のまま推移しているのが現状です。

未知倶楽部のコラムでも何度も登場している話題ですし、私もかつて取り上げました。
コンビニも含めて様々な試みがなされましたが、一気に解決できる方法は残念ながらありません。
道の駅も管理運営が多種多様で官民も入り混じっており、対応が様々なのはご承知の通りです。
あれこれ言っている私も改善策など思いつくはずもなく、正直言ってお手上げ状態です。

ちなみに当サロマ湖駅では4月〜10月の営業時間中は戸外にも分別ゴミ箱を出しています。
自販機専用分別回収ボックスも別途設置しています。(冬季間は雪のため撤去)
店内には通年で分別回収ボックスを設置しています。常識の範囲内であればドライバーからの持ち込みも拒みません。営業時間外でも利用できるのはトイレ洗面台の小型ゴミ箱だけです。

店内の分別は7種に及びますが、分別違いの量が多すぎるため全部手作業で分け直すことになります。
自販機のカン、ボトルの2分別でさえ出来ていないのです。「とにかく放り込む」が実態です。
はっきり言って「自分が困らなければ何でもあり」とさえ思える悲しい現実がここにあります。


今回お話ししたお客様は『よそから持ち込んだゴミ処理に余分なお金が掛かるのは当然だ。だから有料でも良い、とにかく旅行中のゴミが捨てられ場が欲しい』と言われました。捨てる場所がなければ人の目を避けて車からポイッと捨てる人が増えるだろう・・・とも。
この話しは理解できる部分もありますが、捨てる場所を設けても不法投棄は無くなりません。

道路脇に捨てられた空き缶やペットボトル等々が延々と続いている現実を見ると、ゴミ箱の有無だけで解決はしないでしょう。車の中は土足厳禁フカフカ絨毯でも、走行中に吸殻や空き缶を窓からポイ捨てする人にとっては「自分の車の中以外は全てゴミ箱」でしかないのです。

道の駅は公的サービスを提供するのだからドライバーの便を図ってゴミも引き受けるべきだ、という声も間違いなくあります。しかしその費用と手間は地域自治体で処理できないほどに膨れ上がっています。国として税金で賄うべきなのでしょうか? 利用者が廃棄料を支払うべきなのでしょうか?

道の駅周辺やコンビニのゴミ箱に限らず、道路脇にさえ一般家庭の排出ゴミや産業廃棄物もどきまでが捨てられているのです。「一部の不心得物」が大量に増殖し、すでに歯止めが利きません。
様々な施設が知恵を絞り試行錯誤を繰り返しますが、相手もあることで決定打は無いようです。

管理運営側に判断を委ねるべきか、管轄省庁としてエイヤッと強制的に統一すべきか・・・
ゴミの問題は自治体や地域住民&各種小売・製造業をも含めた今世紀最大の問題でしょう。
《温暖化もゴミ(有形無形の廃棄物)の存在抜きに考えられません》

捨てる場所探しより「ゴミが出ない消費サイクル」へこそ知恵を絞るべきでしょう。
発展とか成長を求め続け利害関係に配慮している限り、この問題は先へ進むことはないでしょう。
レジ袋の問題ひとつ解決できなくて何年も大騒ぎしているお国がらですから...


道の駅には安全、安心、快適なドライブをサポートする役割があります。
いつもきれいに使っていただけるようトイレは日に何度も清掃しますが、オンシーズンは5分も経てば洗面台が水浸しですし、想定外のものを流すことによるトイレの排水詰まりも頻発します。そのたびに多くの利用者が迷惑を被ります。注意書きの張り紙はもう何の効果も発揮しません。
故意と思われるドアや網戸の破壊に至ってはもはや犯罪行為です。


サービスにも時間やお金が掛かりますし、できることにも限界があります。
その限界ラインをどんどん下げているのは他ならぬ利用者自身なのです。
これは道の駅などの公的施設だけに限ったことではありません。

「公の場でのマナー」が守られていれば、もっとサービスに集中・専念できるのです。
交通マナーと同じでルール違反者が増えると規制が強くなり不便が生じてきます。
様々な規制や罰則であれもこれも抑え込む方へ向かっているのは残念なことです。
(サービスを)求めるだけでなく「求めに応じる=マナーを守る」ことが必要でしょう。

本当は「マナー」とか「モラル」とか「思いやり」に期待したいのです・・・
ところが、モラルや倫理という言葉はいろんな場面で役に立たなくなっています。
悲しいかな、政治の世界から泥棒の世界(盗賊にも掟・仁義があった)まで。

ヒマに任せて旅行中の男性と長々とおしゃべりをしてしまいました。
解決策は出ませんでしたが、その男性も話し込んでモヤモヤが晴れたようです。
この先もどうぞお気を付けて。北海道の楽しい思い出だけをお持ち帰りください。

こういう話は「空しさ」や「もどかしさ」が残り後味がいいものではありませんね。
ただグチをこぼしているだけでは、良くならないのがわかっているだけに・・・
執筆者

道の駅サロマ湖 杉本武雄

リンク

ページTOP