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未知倶楽部コラム

大自然のふところへ

2007年07月09日

実に12〜13年ぶりになるでしょうか、6月中旬に知床へ出掛けました。
今年4月に登録となった二つの道の駅と、知床の近年の変化を見たかったのです。
今回は一ドライバーとしてのミニ旅行記として記しました。


車で1時間少々で斜里町へ。北海道100番目の「道の駅しゃり」はどこ?
市街地にあり知床方面のバイパスからも離れているためわかりにくいようです。
展示施設と情報コーナーとトイレというシンプルな施設でした。
(他に集会用の会議室やホールがあります)
地域の交流・活動の場としての役割を強く意識した造りと感じました。

道の駅しゃり外観
道の駅「しゃり」外観
道の駅しゃり内部
道の駅「しゃり」内部


更に50分ほどで知床観光の拠点であるウトロの「道の駅シリエトク」へ。
広い駐車場を持ち「番屋」をイメージした出来たてホヤホヤの大きな施設です。
世界自然遺産を意識した情報発信&観光案内所を併設しています。
観光土産品のショップと小じんまりしたレストランも備えています。
夏休みには多くの人で賑わうことでしょう。

シリエトク外観
道の駅「シリエトク」外観
シリエトク内部
,道の駅「シリエトク」内部


羅臼岳
船より知床半島羅臼岳を望む
時間があったので峠を越え知床半島を横断し羅臼町の「道の駅らうす」へ。
海が目の前の施設で漁協が運営のショップもあり海の幸が人気です。
道の駅コーナーを挟むように売店と食堂があり賑わっていました。
羅臼町観光協会事務局長は公募で若い女性に決まったニュースを見ました。
旧来の慣習にとらわれない地域の協力があれば大きな成果も期待できそうです。



本当に久しぶりの1泊2日、300Km程のドライブでしたが、感じたことを少しばかり。

世界遺産に登録された直後(その年)はワンサカと人が押し寄せた知床でした。
地元も期待しましたが翌年からは特に観光客が増えた実感は無いようです。
ドライブしていて目に付いたのはご他聞に漏れずゴミとマナーの悪さでした。

北方領土を見渡す知床峠の防護柵の下には吸殻、空き缶、ペットボトルが捨てられ、 風情があったウトロ温泉市街地は変貌を遂げコンビニ店舗が。
港へ続く道路にはドライバーに声を掛ける客引きまがいのオニイサン達・・・
遊覧船では名所案内はすれど、いかに貴重な自然であり保護が大切かは訴えません。

屋久島が登録された時もマスコミの大攻勢もあり人が押し寄せました。
屋久杉への甚大な被害や、便乗商法による粗悪土産品の横行などが起きました。
数千年の歴史を数年でチャラにする行為を平気で行う人々がいるのです。
「世界自然遺産」に登録された意味をどれだけの人が理解していたのでしょうか。
今回追加登録となった「石見銀山」の今後はどうでしょうか・・・

世界遺産登録運動には「有名になれば観光客が増える」との思惑も陰にあります。
「地域の発展・自立を観光客誘致で」の気持ちもわからないではありません。
知床の場合も観光や農林漁業への影響について多くの議論を重ねたようです。
多くの人に来てもらいお金を落として欲しい、が自然は守って行きたい・・・
悲観的な個人意見ですが日本に於いてはこの両立は大変難しいと思います。

海外の自然保護先進地を何箇所か観光客として見てきましたが、厳しい規制とともに 高度の知識を持った専門のレンジャーが巡回・保護・啓蒙活動をしています。
文化や自然や命の大切さよりも受験対策や学校のメンツが優先されるこの国の教育からは “いたわる心”は育たないでしょう。「自然保護」以前の問題です。

世界に名だたる歴史的建造物をキズもの(いたずら書き)にしてきた日本人・・・
重要文化財や国宝に留まらず貴重な高山植物でさえも盗掘に遭ってしまいます。
この日本で本気で自然を守ろうとするならば公開しないことでしょう。

6月末から北海道十勝管内の海岸で「ゼニガタアザラシ」に近づき 噛まれる人が続出しています。水族館の出来事ではなく野生のアザラシです。
同じ場所に出没するのをマスコミが取り上げ、物見遊山で人がドット来たようです。
つついたり、たたいたり、子供を乗せるバカ親まで出現したそうです。

大きな魚を引きちぎる鋭い歯を持っている野性のアザラシはペットとは違います。
○△ちゃんと名前を付け追いかけまわし加熱させるマスコミにも問題があります。
報道する側が自然とか野生というものをまったく理解していない証拠でしょうね。


原生の花々
原生の花々(ウトロのオロンコ岩頂上のお花畑

さて、そんなことを見たり考えたりしながら大自然の空気を満喫しました。 ふだんよりもゆったりとした気持ちで車を走らせることもできました。
帰りは網走を経由し更に二つの道の駅にも立ち寄りましたが利用者は少なめです。
荒涼としたオホーツクの海岸線に咲く黄やオレンジの花々がとてもきれいです。
海岸に点在する原生花園は7月上旬がピークでしょう。



道の駅サロマ湖も国定公園の中にあります。
目の前の防風林も貴重な原生林で野鳥も多く生息しています。
この恵みと共生する道を探って行かなければなりません。
無理をせずに背伸びをせずにドライバーのオアシスでありたいと思います。

執筆者

道の駅サロマ湖 杉本武雄

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