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未知倶楽部コラム

道の駅「あさご」からのメッセージ

2007年04月18日

道の駅「あさご」 の黒川あや子駅長を通じて、 近畿地方整備局 豊岡河川国道事務所の古賀様の、 道の駅あさごに関する記事をご紹介いただきました。
※なおこの記事は社団法人日本道路協会発行の機関誌「道路」2007年3月号 に掲載された記事であり、日本道路協会と近畿地方整備局豊岡河川国道事務所 古賀氏の ご了解の下、転載するものです。


道の駅「あさご」からのメッセージ

国土交通省近畿地方整備局 豊岡河川国道事務所
古賀 聡明


<はじめに>
 全国各地に道路網が拡がり、ほとんどの人々が移動手段として道路を利用されている。 広域的に移動される方もいれば、比較的近場への移動に限定される方もいる。 利用目的も日常生活における買い物、娯楽・レジャー、観光、ビジネス、通学、散歩など、 多岐に渡っている。ある地点から目的地まで、とかく到達することのみに主眼が置かれがちですが、 その経路上には都会の街並みがあったり、自然豊かな風景や風光明媚な景色が目に入ってきます。 道路は地域と地域を結んでおり、そのところどころで地域が持つ魅力等、歴史・文化や自然、 人々の生きざまなど特色があることを道路を走っていても感じることでしょう。

 このような中で先を急ぐ足をちょっと止める、という「ゆとり」を持つことも 必要なのではと思います。単に休憩するだけではなく、一息ついてその土地や空気に 触れてみるのも道路を利用することならではの魅力ではないでしょうか。 そのバックアップシステムとして「道の駅」があります。何気なく立ち寄ったところでは、 そこがどんなまちなのか、何か有名な史跡などがあるのか、近くに心を癒す情景を与えて くれる場所があるのか、特産品や名物料理などがドライバーにはよくわかりません。 それらの情報を提供してくれるオアシスが必要です。そのオアシス的役割を担うのが 「道の駅」のあるべき姿だと思います。

黒川あや子駅長
黒川あや子駅長
 今回、その中でもとりわけオアシス的存在感の強い「道の駅・あさご」について、 駅長の黒川あや子さんに地域性を生かした取組みや情報発信基地としての役割に ついてお聞きするともにメッセージをいただきました。
<「道の駅・あさご」の概要>
 「道の駅・あさご」は、但馬地方の玄関口である兵庫県朝来市の国道312号沿道に 設置されています。当地は、兵庫県の中央部に位置し、緑豊かな山々や河川に囲まれた 大自然に恵まれており、また瀬戸内海側と日本海側を結ぶ交通の経過地であるとともに 山陰道との結節点となる交通の要衝地という地理的状況にあります。

 設立の経緯は、旧朝来町の国道312号線の地理的条件と地域特性を生かした魅力ある 観光立地を目指し、昭和61年〜63年にかけて特産品開発と観光振興、地域産業の育成を 推進するため「村おこし総合センター」を設立、地域産業の基地的整備を図り、 第3セクター方式による官民一体となった地場産業の深奥と1.5次産業起こしを推進する ために建設されたのが発端です。

 平成4年11月26日、全国「道の駅」駅長会議が開催され、会議は各施設の代表の方 9名によるパネルディスカッション形式で行われ、パネリストとして発表する。 平成5年4月に「道の駅」に認定されて以来、地域の情報発信基地の拠点として 運営されているところで、施設としては次のとおりで充実した内容となっています。

道の駅「あさご」の施設
道の駅「あさご」の施設
○施設概要
1)休憩施設
・駐車場 61台(大型車6台、普通車55台)
・屋外トイレ棟
  男性11器、女性6器、身障者用3器
・休憩所(屋根付イベント広場)
・レストラン(バーベキューコーナーあり)
・喫茶店(ログハウス)
・緑地公園・河川公園
・ベビーステーション(あさご情報センター内)

あさご情報センター
あさご情報センター
2)情報交流施設
・屋根付イベント広場(長椅子、テーブル、流し台設置)
・あさご情報センター(観光・道路・スキー情報提供、宿泊施設、パンフ、 広報誌、タッチパネル、インターネットの利用提供など)
・村おこしセンター(特産品コーナーなど物産の扱い・レストラン)
・林業総合センター(木工品展示・販売コーナー、研修施設あり)
・木工クラフトセンター(木の良さ、木のぬくもり木工体験ができるオリジナル製作)



<特長、地域特性を生かした取組み>
 朝来市は、農業と林業のまちです。これらの地場産業の振興と地域経済の活性化、 個性的なまちづくりなどの確立に向けて地域と行政が一体となって積極的に取組まれています。
 その前提条件として、まず、地域の個性やオリジナリティをアピールするために、 自分たちの住んでいる町の本質を知ることが必要だと。 そして、自分たちの住んでいる町を誇りに思わなくてはならないと。
 「道の駅・あさご」は、昭和61年から取組みを始めた「村おこし事業」が 発端であるとさきほど述べましたが、運営母体である第3セクターは、 旧朝来町民も出資してスタートしています。 その運営状況は次のようになっています。

朝来市の特産品販売(朝市の様子)
朝来市の特産品販売(朝市の様子)
・朝来市の特産品や但馬3市2町、播州、丹波地域の特産物の販売店、 郷土料理レストランの運営など、現在まで黒字経営である
・オープン以来、道路利用者や観光客等ドライバーの憩いの場所、アイストップ、 ポケットパークとして親しまれ、その活用と発展のポテンシャルは非常に高い指数を示している
・全国各地からの視察団や、走る県民教室・グリーンツーリズムバス等を受入れ(予約)
・マスメディア(新聞、雑誌、機関紙、テレビ、ラジオなど)の媒体を通じた全国紹介も多数あり、  売上拡大、販路開拓の推進
・地域活性化だけでなく町のPRに大きく貢献
・人と人、地域と地域の連携を促進

 また、朝来を訪れる人々に快適なイメージを持ってもらうために、 各種団体が推進母体となって、市内全域の清掃活動を実施する 「クリーンあさご2000人大作戦」を10年以上継続させているなど、 「道の駅」という限られたスペースのみならず、まち全体をイメージアップ させることで地域性を表現し、「道の駅」の好感度アップを演出しています。
 ・「水」の美しさ「緑」の美しさを強調
 ・ISO14001を取得した環境自治体としての取組み
 ・花いっぱい協会の活動支援、地域自慢づくり、遊べる里山づくり
 ・特産品の加工販売などによる農業支援
 ・アダプト制度を導入して、花いっぱいの町づくり、美しい町づくり
これらの取組みは、後ほど述べますが情報発信と密接な関係にあります。


<「あさご」の元気はお年寄りの元気!>
 全国的な傾向である高齢化社会が朝来にも押し寄せています。 しかし、朝来ではお年寄りが支える地場産業があり、そのおかげでお年寄りは元気です。 その元気があさごの元気の原動力になっています。その仕組みは、お年寄りたちが 丹精こめて作った野菜、花、加工品が「道の駅」で販売され収入源になっていることです。 作ったものが売れ、その日のうちにお金になることが、お年寄りたちの頑張りを支え、 元気の源になっています。

 なかでも「黒大豆入り味噌」は、平均年齢75歳のおばあちゃんたちの会社が 地場産の黒大豆と白大豆、こうじのブレンドで全て手作りの逸品であり、 健康食品の特産品として大ヒットとした商品です。

 また、朝来町特産品で有名な「岩津ねぎ」は、60代、70代のお年寄りが 生産組合を組織して生産拡大を実現、幻の名ねぎを見事に復活させ販売しています。 現在、朝来市では、農業、商業、産業の地域をあげて取り組み、生産者や関係機関に おいて安全、安心を基本に「岩津ねぎ産地化協議会」を設立し、生産拡大事業、販路 拡大事業を積極的に取り組んでいます。

 黒川駅長は、この仕組みから、健康福祉の増進(からだのウエルネス)、 ゆとりあるライフスタイル(心のウエルネス)、魅力ある地域づくり(地域のウエルネス)の ウエルネスが生まれ、活性化につながると話されています。 その意味で「道の駅」の存在が重要であることが伺えます。 Wellnessとは心身の快適状態をも意味します。


<地域の情報発信基地としての役割>
 「道の駅」は、単なる休憩施設ではなく、地域と地域、人と人とが出会い、 ふれあう場でもある。その土地の風土、歴史・伝統文化や自然などの地域性は、 その土地の人々と交流することでこそ体感できるものではないでしょうか、 と黒川駅長の弁。その言葉のとおり、「道の駅・あさご」では、「交流」を キーワードにイベント事業や各種事業への取組み、戦略的な広報活動と情報発信を 展開されておられます。それらを紹介します。

道の駅の切符販売で全国のファン作りを
道の駅の切符販売で全国のファン作りを目指し、
リピーターを増やす戦略とそのホスピタリティ
○来訪者に何度も足を運んでもらうコツ
 多くの来訪者を確保する手段として、イベント事業がまず考えられます。 イベントを開催するにあたり、そのイベントの定義を理解し、社会的位置付けを どのように捕らえるかが重要になります。そしてイベントの持つ基本的な意義の 一つとして、イベントこそ双方向的コミュニケーションシステムであることを 十分に認識したうえで企画・運営していく必要があります。
 ・リピーターとして、同じ人が何回来ても飽きないこと
 ・訪れるたびに何か発見的であるか、学術的に深いもの
  があるか、何があるのか、教育的な町であるか
 ・あの町に行くと何回行っても新しい発見がある
 ・フレンドリ-なホスピタリティ(おもてなし)
 ・何もなければ「挨拶」だけでも素晴らしい交流の源

イベント構築で肝要なのは、担い手・場所・機会・活力ある地域の熱意になります。 イベントが成功すれば、売上が伸び、リピーターが増えます。 更に、イベントは地域のコンセンサスづくりにも非常に役に立ちます
 「道の駅・あさご」では、四季を通じて開催の「四季彩あさごイベントふるさと感謝祭」 をはじめ、諸々のイベントを実施しており、開催時には約5000人/日の来客があります。
四季彩あさごイベントふるさと感謝祭「ブタレース」
四季彩あさごイベントふるさと感謝祭「ブタレース」

○PRについて
 「道の駅」は、情報発信基地の役割を持っています。情報化社会の今日では、 情報が人々の行動を左右すると言っても過言ではなく、「道の駅」の情報発信も また地域からのインフォメーションとして重要な位置付けにあると思います。

 情報とは、「情に報いる」情報を的確に送ることで、この情報と知識を最大に 生かすには、人が必要であり、人の組合せが不可欠になります。 特にマスコミが飛びつく情報の提供は地域の知名度アップ、 特産物の知名度アップ及び販売促進につながるなど、多くの有益な波及効果が期待できます。 また、情報ネットワークの構築と多くのチャンネルの確保とその対応が不可欠になります。

 「道の駅・あさご」のホームページを通じて、いろいろな方々へ 情報発信しパーソナル、コミュニケーションを心がけています。 情報のアウトプットが大切になります。同時に魅力的なウェブサイトの コンテンツづくりが重要なポイントであることから次のような取組みを実施しています。
 ・ホワイトボード(更新プログラム)のバージョンアップ
 ・トップページイラスト画像を四季ごとに更新
 ・トップページの定期更新(イラスト画像更新にあわせて更新)
 ・名産カタログ『お土産を買うならここ』の更新
 ・検索エンジンに登録(キーワード「但馬」など)

「道の駅・あさご」では、魅力的なウェブサイトのコンテンツづくりの 一環として、 南但馬グリーンツーリズム協会ホームページ「ふらっとネット」 と連携した情報発信を実施しており、着実にアクセス数を伸ばしています。


<おわりに>
 今回の投稿にあたり、「道の駅・あさご」を知り、黒川あや子駅長との出会いは、 私に大きなインパクトを与えてくれました。全国各地に多くの「道の駅」が誕生し、 各「道の駅」に於いては、多様な取組みに試行錯誤し苦心され、地域活性化への貢献と 道路利用者への快適なサービスの提供に精励されていることと思います。黒川駅長は、 そのための自助努力、創意工夫を重ね、一期一会の気持ちに心がけて 「幾ら、スピード化や情報化時代にあっても、人をもてなす温かさホスピタリティの心がけ」 と、新しい発見を探求していく姿勢が大切であると言われています。 その取組む姿勢によって「道の駅・あさご」のような元気な「道の駅」になって行くものと 感じます。そして、元気な「道の駅」がある地域はきっと地域全体が元気だと思います。 

 今後、少しでも「道の駅」に対する新たな興味を抱いて立ち寄っていただければ、 その土地の新しい何かの発見に出会えるかも知れません。

 このたび多大な協力をいただいた黒川駅長は、大変エネルギシュな方で、 現在、ODA(政府開発援助事業)の関係でタイ産業村の地域おこし事業に携わっておられます。 「道の駅」での経験や知見をタイの関係者に伝承するために尽力されています。 本稿も黒川駅長が作成された関連資料を大いに活用させていただきました。 この場をお借りしまして厚くお礼を申し上げる次第です。
(文責 工務第二課長 古賀聡明)

 

執筆者

道の駅あさご 駅長 黒川あや子

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