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未知倶楽部コラム

雲南地域道の駅運営アドバイザリーセミナー(島根県)のご報告

2007年03月08日


 去る3月1日、島根県雲南地区で道の駅アドバイザリーセミナーを行ないました。
 同地区の3つの道の駅に関する調査報告会を第一部で行い、第二部では参加して頂いた道の駅の代表、県庁始め行政代表、生産者代表、約30名と椅子を円形に並べてリラックスしながら意見交換会を行ないました。 本コラムでは第二部に行なわれた意見交換会について簡単に報告します。

 主旨は雲南地域の道の駅を活性化させるために何をすべきかです。堅苦しい形式論ではなく、この機会に皆で本音で語って欲しいと願い私の方で予めQ&Aを準備して、議論を盛り上げさせて頂きました。

 話し合った主な事柄(抜粋)を以下報告します。

1)道の駅は誰の為にあるのか?

 行政の為にある、利用者(主に域外)の為にある、地域住民の為にある等色々な意見があるが、この視点にずれが生じると情報の質、サービスの質に露骨に現われる。総意として以下となった。

 利用者ニーズに応えることと共に地域住民のためにあることが再確認されて、自治体、管理者、住民が一体となって道の駅を運営することが重要である。


2)道の駅は収益向上を目指すべきか?

 道の駅は公共施設なので利益追求をすべきでないという意見もある。民業圧迫、本来の機能(道路情報提供等)が疎かになるとか。これが明確になっていないと現場支配人である道の駅駅長さんは苦労をする。総意としては以下。

 公共性と収益性は必ずしも相反する考えではない。道の駅は地域経済の重要な拠点でもあり、一定の利益を得る事で維持管理コストを捻出し、更に従業員、生産者、株主に利益を還元することにより、持続可能な地域発展を目指すべきである。
 一方、純粋民間的な利益追求の姿勢だけでは良くない。また、 域外から道の駅へ産品を安易に持込むことは域内の外貨流出に繋がる。 そうではなく域外へ地域産品を販売することにより、 あるいは域外の利用者へ地域の魅力的な情報を発信することを通じて 人を呼び込むことにより外貨を獲得することが必要。


3)道の駅同志で連合・連携することは有意義か?

 個の道の駅だけの頑張りで果たして地域経済は良くなるのか?単独主義から脱皮して共生の道を歩む必要性は理念として理解していてもなかなか進まない。総意として以下。

 道の駅同志の連合、連携をする前に道の駅敷地内の施設同志の連携が必要である。指定管理者制度の導入により敷地内の施設同志の連携が分断されトータル資産価値が低下している例がある。これは行政側が尽力して解決しなければならない。
 次に必要なのは周辺地域住民との連携である。まだまだ不十分な例が多い。それが出来て初めて他の道の駅との連合・連携を求めるというステップを踏むことが可能である。
 複数の道の駅が広域連携をすると広域的観光ルートを作ることが可能であり、また広域的に利用できるポイントカード、特産品の広域販売等経済的効果が期待できる。


 2時間に亘った意見交換会は大いに盛り上がりました。道の駅の関係者は複数いますが一同に会して本質的な話し合いをしたのは全国でも恐らく初めてではなかったのではないかと推察します。ここで話し合われたことはなにもここ島根県の雲南地域固有の問題ではありません。全国全ての道の駅の抱えている問題であると思います。今後も色々なところでこのような本音が言える意見交換会が開かれて行くことを祈っております。
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執筆者

未知倶楽部室 室長 賦勺尚樹

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