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未知倶楽部コラム

山岡の土雛展

2007年02月27日

現在、道の駅おばあちゃん市・山岡には170体の土雛が飾られています。古いものでは100年以上の年月を経ているものもあり、歴史を物語る貴重な土雛たち。

この地域では、4月3日の雛祭りを「お節句」といい、春のお彼岸過ぎの27日か28日に飾り付けをするのが慣わしです。古くは女の節句と男の節句がはっきりと分かれていなかったので、このとき女の雛人形と五月人形が一緒に飾られていました。

山岡を含む東濃地方は陶器どころであり、その昔山岡町の隣「瑞浪市」では土雛作りが盛んで、冬の間家内工業として土雛を作り、川上の山岡町へ徒歩で土雛のいっぱい入ったかごを背負って売りに来たと伝えられています。

雛人形は、初節句などのお祝いとして親戚や隣近所から頂くもので、送り主の名前が人形の裏に書いてあります。人形は金太郎・浦島太郎・藤むすめ・内裏雛などをかたどっていて、素焼きで色の塗ってあるものを土雛、布製のものを衣装雛といいます。
その姿にもひとつひとつ物語があります。たとえば天神様(菅原道真)の土雛は、小学校の入学のお祝いとして贈られることが多かったようです。

昭和30年頃を境に土雛から衣装雛へと変わり、住宅事情の変化とともに土雛を飾る家庭は殆どなくなりました。欠けたり、ねずみにかじられたりで、処分したり、骨董屋に売ってしまったと聞いております。現在、三州足助(豊田市足助町)のほうで雛人形の大きなイベントが毎年開催されているようですが、山岡の土人形もその頃そちらにたくさん売られてしまったそうです。しかも安い値段で。古い土雛は今なら一体数万円の値段が付くものもあります。今から思い起こせば、もったいないことですね。

土雛たち
レストランにたくさんの土雛を飾っています
土雛(高砂)
婚礼祝いの土雛「高砂」
土雛(常盤御前)
歌舞伎の題材から「常盤御前」の土雛
土雛(豊臣秀吉・菅原道真)
「豊臣秀吉」に「菅原道真」

現在、わたしたちの道の駅のレストランには、当時流行した歌舞伎の題材をかたどった、大石良雄、豊臣秀吉、常盤御前、義経、巴御前、などの土雛を飾ってあります。また婚姻のときに贈られた高砂、商売繁盛の大黒様、恵比須様などもあります。たくさんの土雛の前で、お客様たちがその当時を懐かしみながら和やかにお話なさっています。

土雛づくり実演・・・高木工芸との出会い

おばあちゃん市が追求しているのが、文化の伝承・味の伝承・遊びの伝承・・・現代に欠けているものは、心の通うふれあい。忘れかけている四季折々の伝統ある文化。野山を駆け巡りはしゃぐ子どもたちの遊び、手づくりの遊び。スーパー、コンビニへ行けば何でも手に入る時代に家庭のぬくもり、本物の味をおばあちゃんたちの手 で伝えていきたい。こうした思いで取り組みをしています。

土雛には地域独自の歴史があり、それぞれの思いが込められた人形たちを飾るのみに留まらず、土雛展でぜひ本物にふれていただきたいと思い、今でも土雛を作っている人はいないものかと探していた時、偶然山岡町の隣市の高木工芸さんに出会うことができました。

平成16年から、毎年この時期に3回〜4回、土雛展にて土雛作りの実演をしていただいております。「継続」していくことで、訪れたお客様たちに知っていただければと思っています。

土雛づくり実演
【日時】3月3日(土)、3月14日(水)、3月25日(日)。各日10時〜15時まで。
*購入希望の方には、販売もします。
執筆者

道の駅おばあちゃん市・山岡 駅長 後藤妙子

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