HOME > 道の駅探検記:九州沖縄編 > 第69回九州・山口 道の駅探検記(番外編) 強い道の駅を作るには(運営側編)

九州道の駅探検記

第69回九州・山口 道の駅探検記(番外編) 強い道の駅を作るには(運営側編)

2011年07月10日

前回「強い道の駅を作るには(設置側編)」として十カ条の提言を執筆させていただきました。今回は第二弾目の「強い道の駅を作るには(運営側編)」の十カ条です。 

運営側編

一、採用する従業員は、最低でも半分は他地域で生活をした事のある人材を採用せよ!

道の駅には域外からのお客様が多い。その域外客のニーズを体で感じた事のある人材を採用する事で、 地元とは違った視点で、地域を売ることが出来る。また組織的にも噂話の拡散防止になるので好ましい。

ニ、パート従業員には教育制度と時給昇給制度を採用せよ!

サービス業においてパート従業員(以下パート)の比率が一番多い。よってお客様と接する事が最も多いのがパートである。パートのスキルや意識がお店の将来を左右すると言っても過言ではない。レベルに応じた教育制度と身に付けたスキルによって時給アップする昇給制度を採用するべきである。一回の昇給は5円程度で可。

三、委託仕入でリスクを回避するな、商品によっては買取仕入で積極的な販売を行え!

 道の駅ありがちな委託販売方式だけでは必要な収益を確保できない。賞味期限の少ない葉物などは委託販売で も構わないが、果物などは買取仕入するべきである。リスクはアップするが、試食提供や効果的なPOPで販売 努力するべきである。リターンも期待できる。

四、域内、域外を問わず加工業者と共同で道の駅オリジナル商品を開発せよ!

 ここでしか買えない商品がいくつあるかが運営の鍵である。地域の産品を利用して域内外の加工業者と協力、 オリジナル商品を開発せよ。原価を50%以内に抑えた売価設定を行い儲かる商品ラインナップを確立せよ!

五、売切れて喜ぶな!青果品の鮮度確保をはかって午後からのニーズにも対応せよ!

 青果品が午前中に売切れる事を自慢そうに言う駅があるが、午後からの集客を捨てている事だ!痛み易い青果 品は遊びに行った帰りに買いたいと言うニーズの方が高い事を認識するべきである。大型のプレハブ冷蔵庫を整 備し、鮮度を保ったまま保管、午後からの品揃えに活用せよ。

六、安易にテナントにするな、道の駅メインダイニング(レストラン)の活用

 最近、道の駅の飲食店はテナント方式でフードコートのような店舗を多く見かけるようになった。おそらく リスク回避やノウハウ欠如が理由と思うが道の駅のメインダイニングは是非道の駅ならではの仕組みで挑戦し て欲しいところだ。道の駅のレストランはただの飲食店ではない。オリジナル商品の研究開発や、直売所でのロ ス食材の有効活用、売場への加工食品の提供、イベントへの出店など、飲食部門が無いと出来ない事は多い。こ れは柔軟な考えを持つ料理長の採用が鍵となる。

七、待ちの商売ではもう生き残れない。積極的に外に打って出よ!

 道の駅は道路状況の変化や天候など外的要因で売上は乱高下する。そのリスクを回避するためにも、外部で売 上を確保するリスク分散が必要だ。その為に外で戦える武器を持たなければならない。四で提唱した道の駅オリ ジナル商品や、六で提唱した飲食部門を使って、イベントに参加したり、都市圏の量販店内に○○道の駅コーナ ーを設けたりと営業を行い、外向け販路の拡大をはかる。

八、イベントを毎週開催せよ!

 毎週末、大小にかかわらずイベントを開催し続け、いつも何かやっている道の駅と言うイメージを定着させる。強化商品の試食販売、加工業者による対面販売、お弁当キャンペーン、ソフトクリームじゃんけん大会(従業員に買ったら半額!)、料理長によるブリの解体ショー販売会、A5和牛の丸焼き販売会など、目で楽しめるイベントがお勧めである。経費がかかっても売り切って回収できる。

九、道の駅の顔はトイレである。掃除専属の職員を配置せよ!

 道の駅で一番利用が多いのがトイレである。特に女性がトイレの清潔さに敏感で、汚いトイレでは集客も落ち る。常に清潔を保つスタッフの常駐が必要!たかがトイレだが、されどトイレである!

十、各部署の責任者に数字の責任を持たせ結果に対して評価せよ!

管理職には目標数値に責任を持たせ、目標達成に向けあらゆる努力をさせる事が必要である。結果に対して駅 長は時に厳しく叱責し、時には褒め、目標への執着心を植え付ける必要がある。目標に到達せず何の御咎めなし という状態は絶対にしてはならない。雨が降ろうが、雪が降ろうが、道路が通行止めになろうが目標は目標であ るという考えを植え付ける事。

今回運営側の十カ条を書いてみて、正直十カ条では足りませんでした。あらゆるケースが考えられますし駅の立地や地域特性で変化する項目も多々あります。しかし個人的提言と言う観点で見て頂ければ幸いです。また六の飲食部門に関する項は補足するべき事も多く、「道の駅の飲食部門の在り方」として後日書きたいと思います。
執筆者

三雲浩嗣

ページTOP