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九州道の駅探検記

第68回九州・山口 道の駅探検記(番外編) 強い道の駅を作るには(設置側編)

2011年06月29日

 これまで数多くの道の駅を見てきて、また実際に道の駅の運営をしてきて、これからの競争激化の中で生き残り力強く前進していける道の駅の姿を私なりに提言と言う形で書きたいと思います。
全国で1,000近くの道の駅が誕生し、類似施設も数多く誕生しており、もはや消費者にとっては国交省認可の道の駅と道の駅類似施設の違いも分かりにくくなり、競争激化と淘汰の時代が必ず来ます。その中で生き残るためには独自のコンセプトと商品、人材を育てていくことが重要になります。また公共投資で出来た道の駅独特の問題も解決しなければなりません。
今回は2回にわたり道の駅生き残り十カ条(設置側編)と(運営側編)という形で提言します。

設置側編(行政)

一、駅長は公募方式で、民間出身者を選べ!決して公務員出身者を選ぶな!


道の駅は、自ら営利を生みだし地域に還元し、そのサイクルを拡大する事である。営利がなければ地域や消費者に還元する事も出来ず衰退サイクルに入る。営利確保をできる民間出身者でなければ道の駅は成功しない。また人材は広く全国から公募する事でレベルの高い人材を確保できる。

ニ、道の駅の計画は、最初から最後まで駅長をも含めて計画する事!


道の駅の計画で最初に行政が手を付けるのが、用地買収や建物設計である。運営側の意見を聞かず場所や建物が決定されると開業後の売上の伸悩み、経費の増大などマイナス要因が増大する可能性あり。また道の駅の在り方や目標(コンセプトを)しっかり決め、市場の動きも見ながら中長期の計画を立てておく事。

三、駅長には道の駅のすべての決済権を与えよ!


道の駅運営に関しての権限はすべて駅長に与えることにより動きの速い経営が可能となる。人事、財務、経営 方針など行政側が口を出して旨く行っている駅は無い!

四、道の駅は、地域の防災拠点である。災害時にも営業できる設備を整備せよ!


道の駅は災害時、避難所機能や食糧提供、トイレ提供、情報の発信、駐車場を利用した物資中継やヘリポートなど、地域防災の拠点となる。日頃から行政と道の駅が訓練を欠かさず備えなければならない。災害用機器の維持管理は行政が責任を持って行うべし。

五、道の駅の運営形態は株式会社(三セク)が好ましい。


道の駅の運営組織は株式会社がやりやすい。筆頭株主は全株数の2/3以上を保有する事により安定的に、中長期の計画をにそって経営する事が出来る。それ以外の株主は地域の一口株主などを募ってもよい。
取締役はなるべく少人数として、駅長を含め5名くらいが理想である。取締役の半分は民間企業出身者または民間企業経営者が好ましい。

六、駅長の地位を向上


道の駅は地域のショールーム及びデパート、情報発信基地である。いわば「地域の顔」である。よって駅長は地域の広報マン兼営業責任者である。その役目は首長、助役、収入役などに匹敵する重要なポストである。よって報酬もそれなりの額を用意する事。

七、道の駅に行政職員(若手)を出向させよ!


  行政の中に居ては分からないコスト意識、思考の違いを道の駅で実体験させることによってバランスのとれた行政職員の育成を行う。道の駅との協業もやりやすい。

八、指定管理者制度は契約期間を10年にせよ!


現在多くの道の駅が指定管理者制度で3年〜5年の契約期間となっている。契約期間の短さと継続契約の確約もないので、人材育成や投資が出来ない。また中長期の営業計画も立てられない状態であり発展性のある道の駅運営が出来ない状態である。少しづつでも継続的に地域活性を行いたければ10年の単位で経営させるべき。

九、道の駅設置条例は営業時間や運営方法には触れるな!


道の駅設置条例に営業時間や販売方法(委託販売方式)、会議室の価格など細かい決まりがある条例が見受けられる。経営は市場の変化に対応するものであって条例で枠を付けるべきでない。変更すればいいという意見もあ るが議会の議決が必要であり時間もかかる。与野党が拮抗している議会では否決の可能性もあり。

十、行政の役割は道の駅の効果と弊害をしっかり分析し、道の駅と情報共有し て問題解決する事である。


道の駅が営業する事によって地域にどのような効果があったか、またどのような弊害が出たかを分析しなければならない。効果に関してはさらに拡大するにはどうすればいいのか、弊害に関しては解決するにはどうすればいいのか、を道の駅と問題共有し改善の為、努力しなければならない。

(運営側編)7月初旬公開予定
執筆者

三雲浩嗣

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