山形に短い夏が訪れる頃、村山地域は赤くたわわに実った「さくらんぼ」に彩られます。地域内の東根市は有名な「佐藤錦」の発祥の地で、さくらんぼの生産量は現在日本一を誇ります。山形にさくらんぼが入ってきたのは明治初期の頃。東京から送られてきた三本の苗木が最初です。西南戦争直後の明治11年には試験場が完成し、梅雨が短い寒冷地である山形はさくらんぼ生産の適地として、その後生産が盛んになりました。

「さくらんぼ漬」はそうした特産のさくらんぼを丸ごと酢漬けにした逸品です。一見、「さくらんぼの梅干」のような感じですが、味は決して塩辛くはなく、さくらんぼの自然な甘さと酸味が絶妙にマッチした奥深い味わいに仕上がっています。ご飯と一緒にというよりは、ちょっとしたおもてなしのおつまみとして、あるいはお酒の供として味わっていただければと存じます。

山形は漬物の産地ですが、もう一つの特産であるさくらんぼを漬物の形にできないかと試行錯誤の末に生まれた商品です（製造元：庄司醸造場）。食べ始めるとなかなか止まらない、そんな「さくらんぼ漬」を全国の皆様に知っていただければと思います。