秋田では漬物のことを「雅香(がっこ)」と呼びます。いぶした漬物、すなわち「いぶりがっこ」の歴史は室町時代頃まで遡ります。秋田は降雪が早く、漬物用の秋大根を天日に干すことはできません。家々では家族の集う囲炉裏の火と煙で大根を干していました。
現在は10月半ばから約5日間、ナラや桜などの薪を日夜燃やし続けて大根を燻します。燻し小屋からたなびく煙は晩秋の風物詩です。燻した大根を10月下旬から年末にかけて漬け込み、その後約2ヶ月でいぶりがっこが完成します。
広葉樹の薪の火と煙で燻されることで、いぶりがっこは囲炉裏火を連想させる独特の香ばしい味になります。そのままお酒のお供に、千切りとおかかでお茶漬けに、薄切りをハムと重ねてサンドイッチにするなど様々な賞味方法がございます。
冬の保存食として各家庭で作られていたいぶりがっこは20年ほど昔、「出稼ぎより町の名産を」という掛声の下、試行錯誤を経て商品化されました。「雄勝野きむらや」では、昔ながらの風味の再現を目指して製造に励んでいます。